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戦略投資とファイナンス

事業ポートフォリオの最適化-経営を全体最適する方法

第7回

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事業ポートフォリオの全体最適は
「個別投資の代替案」の組み合わせ

 続いて、戦略投資A・B・Cのそれぞれに戦略代替案を求めたとしましょう。その結果,以下のような案が提出されました。どの案も、実現可能なものとして、実行部隊がよく練ってきたとします。

投資額 リターン見込み
戦略投資Aの計画 100億円 130億円
70億円 100億円
40億円 60億円
投資額 リターン見込み
戦略投資Bの計画 100億円 130億円
70億円 100億円
40億円 60億円
投資額 リターン見込み
戦略投資Cの計画 100億円 130億円
70億円 100億円
40億円 60億円

 投資額を合計120億円以内に収めて,なおかつ全体最適が達成できるかどうか、考えてみましょう。組み合わせを考えると、理論的には、Aに3通り、Bに3通り、Cに3通りありますので、3×3×3で27通りあります。それぞれに、実行しない、という選択肢も含めると、4×4×4の64通りが可能です。このような組み合わせで作られる数々のポートフォリオの中で、ベストな組み合わせを見つけ出すのが「ポートフォリオの最適化」です。皆さんなら、どのように考えるでしょうか。

 ここでは、投資の「生産性」がキーワードです。投資効率も同じ意味です。

 一般的に生産性とは、「(アウトプット)÷(インプット)」です。戦略投資の評価では、「(リターン見込み)÷(投資額)」となります。

 戦略投資の「生産性」を考慮すると、次のような組み合わせが選択できます。3つの案の合計投資額に対して、最も投資効率が高くなる(投資額に対するリターン見込みの比率が高くなる)ように選択した組み合わせです。投資額は合計120億円、リターン見込みは合計220億円です。当初は、AとCを選択して、170億円のリターン見込みでしたから、50億円高い見込みとなりました。各投資の生産性を考慮して、経営資源を再配分したこの状態を「全体最適」といいます。

投資額 リターン見込み 生産性
戦略投資Aの計画 40億円 60億円 1.5
戦略投資Bの計画 30億円 50億円 1.67
戦略投資Cの計画 50億円 110億円 2.2

 この組み合わせでは、戦略投資Aについては当初の「竹」案よりも投資規模を縮小した「梅」案が選択されています。戦略投資Bは投資規模が中間の案、戦略投資Cについては投資規模を拡大した案が選択されています。このように、全体最適の状態においては、各事業の個別最適の状態とは異なることがあります。

 この組み合わせは、投資とリターンの関係だけに着目していますので、いつ頃成果が得られそうか、ヒト・モノ・カネは必要なタイミングで配分可能かなどの「時間軸」も考慮することが実際は重要です。

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最適なポートフォリオは<br /> 「効率フロンティア・グラフ」で探す

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この記事の著者

小川 康(オガワ ヤスシ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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