ハードウェアの進化が理由ではない
「囲碁でコンピュータが人間に勝てるのは、数十年先」と言われた理由は、その計算量の多さだ。その難易度は、着手、つまり一手を選択する可能性の大きさで表現されることがある。チェスは10の120乗、将棋は220乗、囲碁は360乗だ。着手の選択肢を見る限りでは、チェス、将棋、囲碁と順番にAIが侵攻してくるのは時間の問題だと思うかもしれない。チェスや将棋の段階では、その進化はハードウェアの進化に対応していた。しかし囲碁の場合のAIの勝利の根本の理由は、ハードウェアの進化ではない。
実際、囲碁にはさらにチェスや将棋にない難しさが存在する。そのひとつが、AIがたくさんある着手の可能性の中から次の一手を判断する、評価関数の計算だ。