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「デザインしない」キャリアとその実践者

人材研究所 曽和利光氏に聞く「デザインしない」キャリアとは?

(第1回)

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 スキルを磨いてやりたい仕事に就きたい。ポジションや待遇もアップさせたい。そのために、自らでキャリアをデザインすることも大切ではありますが、全く違うアプローチで、自分の可能性を高めることができるのではないか。その問題意識のもと、「デザインしないキャリア」の有用性について、実践者の言葉をもとに検証していきます。連載初回は、ご自身も採用業務やキャリア形成のプロでいらっしゃる、株式会社人材研究所代表の曽和利光さんにお話を伺いました。

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曽和利光さんプロフィール

曽和利光株式会社人材研究所代表取締役社長。
採用後ろ倒し対策のコンサルティング、面接官・リクルータートレーニング、イベント選考アウトソーシングなどの採用をすべて一気通貫で行う。京都大学で学んだ心理学とリクルート人事部GMとして培った営業スキル・2万人の面接経験を融合しワンランク上の人材を採用する独自手法を確立。リクルート、ライフネット生命、オープンハウスで一貫として人事畑を進み、株式会社人材研究所設立。

キャリアヒストリー

  • 1995年3月 京都大学 教育学部 卒業
  • 1995年4月 株式会社リクルート入社
    人事部に配属。採用業務を手がけた後、人事企画業務を経験
  • 1999年 株式会社リクルート退社
    大学院の受験のために退社。心理職員としてのアルバイトも
  • 2002年 株式会社リクルート再入社
    採用マネージャーとして、同社の成長を支える
  • 2009年9月 ライフネット生命保険株式会社に転職
    総務部長として、人事だけではない幅広い経験を積む
  • 2011年6月 株式会社オープンハウスに転職
    人事責任者として、採用と人事の改革をリード
  • 2011年10月 株式会社人材研究所を設立
    人事・採用領域のコンサルティング・アウトソーシング事業を展開中

“オカルト少年”が京大で心理学を専攻し「日本の人事部」へ

――どうして、リクルートに入社したのですか?

 自分のルーツを辿ると、“オカルト少年”でなんですよ。超能力や超常現象が好きでした。その流れで、心理学者のユングと、その著名な研究者である河合隼雄先生に興味を持って、京都大学の教育学部に入学。心理学を活かす仕事の中でも、「臨床系」と呼ばれる「心理セラピスト」や「カウンセラー」になりたかったのですが、そういう機会には恵まれず、リクルートに入社しました。

 誘ってくれたのが、リクルートだけだったからです(笑)。私は、研究者への道も考えていたので就職活動を行っておらず、大学を留年していました。当時はリクルーター制度が全盛の時代。自分で会社を探してエントリー、という進め方がまだ無い中、リクルートの学部の先輩だけが声をかけてくれたのです。「うちは、日本の人事部だから、お前の学んだことは活かせる」と口説かれ、その場で「行きます」と答えました。最初に声をかけてくれた会社にそのまま入ったというわけです。

――入社後は、どのような仕事に携わりましたか?

 リクルートには計15年在籍したのですが、4年目に一度、退職しています。最初の3年間は、ひたすら採用業務に携わりました。「自社の人材よりレベルの高い人材を採用せよ」という会社ですから、その情熱は凄まじかった。優秀な学生のリストを収集し、徹底的に電話を掛けて会いに行く。今みたいに、採用ブランドの高い会社ではなかったので、熱意で勝負するしかありません。社会人経験が少ない自分の生き様をさらけ出し、学生の本音と共鳴し、自社のことに興味を持ってもらう。まさに一対一のぶつかり合いの毎日でした。その後、企画部門に異動になったのですが、これが転機になってしまいました。全社の制度設計業務は、個別最適ではなく全体最適を目指すものですので、一対一で学生と勝負していた自分にはその大切さを理解することができなかった。そして、若かったからでしょう。最大公約数的に社員をひとくくりにして考えるスタンスが合わず、リクルートを退職しました。

――転職先やその先のビジョンは決まっていたのですか?

 いえ。ほとんど考えていませんでした。抜け出したかっただけです。やることがないので、関西に帰りました。大学院に入るための勉強をしながら、大阪の警察署で補導された少年向けの心理職員を行ったり、公立中学校で半不登校児に接する相談員のアルバイトで、生計を立てていました。自分自身もこの先どうしようか考えている時期だったので、子供たちと真摯に向き合えたのだと思いますし、ここで学べたことも多かったです。

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