「ロボカップ」プロジェクトを通して生まれた、商業利用を可能にしたロボテクノロジー
「ロボカップ」というプロジェクトは、20年前から始まった。その目的は2050年までに完全自律型ヒューマノイドロボットのチームで、FIFAワールドカップのオフィシャルチームに勝つと言うものだ。登壇者である北野氏は、ソニーコンピュータサイエンス研究所とは別に、ロボカップ国際委員会ファウンディング・プレジデントも担っている。
毎年、協議会を開催し、技術がどのくらい進歩したかを話し合う。その際に、FIFAとロボカップのルールを比較する表があり、毎年このルールの差分をなくす方向で、技術の進歩が話し合われている。具体的に、車輪型のロボットやヒューマノイドなど、複数のカテゴリに属するロボットが存在している。
「ロボカップの技術は、ロジスティクスやスマートホームなどに活かされている」と北野氏は語る。ロジスティクスの具体例に、ロボカップで優秀な成績を収めていたチームの指導者である、ラファエロ・ダンドレア氏がアドバイザーを務めた、ロボット物流システム会社の「Kiva Systems(キバ・システムズ)」の事例がある。同社は、ロボカップの技術を倉庫の管理システムに適応し、分散型自律ロボットを開発。具体的に、クリックした瞬間に、ピッキングロボットが動くという、オーダーマネジメントシステムによって動いている。キバ・システムズはのちに、e-コマース大手のアマゾンが買収し、アマゾン・ロボティクスへと社名が変更されている。