SWOT分析にTRIZを活用する
さて、前々回および前回のケースをもう1度取り出して、SWOT分析に対するTRIZの適用について考えてみましょう(図4)。4つのSWOT間を結ぶ5つの矢印は、以下の仮説としての状況を示しています。
- 強力なブランド力という強みは、脆弱なチャネルという弱みを中和する
- 強力なブランド力という強みは、ソーシャルメディアの台頭という機会を生成する
- 脆弱なチャネルという弱みは、新規参入者の増加という脅威を生成する
- 脆弱なチャネルという弱みは、ソーシャルメディアの台頭という機会を中和する
- 新規参入者の増加という脅威は、ソーシャルメディアの台頭という機会を中和する
このモデルから導き出されるいくつかの指示を示してみましょう。
- 強力なブランド力という強みを活用するための代替方法を見つける。それは、ソーシャルメディアの台頭という機会を獲得し、脆弱なチャネルという弱みを除去、軽減、防止するものでなければならない。
- 新規参入者という脅威を回避するために、脆弱なチャネルという弱みを除去、軽減、防止する方法を見つける。
- ソーシャルメディアの台頭という機会を獲得するための代替方法を見つける。それは、強力なブランド力という強みを必要とせず、脆弱なチャネルという弱みや新規参入者の増加という脅威によって影響されないものでなければならない。
- ソーシャルメディアの台頭という機会を、脆弱なチャネルという弱みや新規参入者の増加という脅威の有害な影響から保護する方法を見つける。
- システム全体を、ソーシャルメディアの台頭という機会を獲得する代替方法の1つに置き換えることを検討する。
- 脆弱なチャネルという弱みの状況下において、新規参入者の増加という脅威を除去、軽減、防止する方法を見つける。
さらに、以下の折衷案の指示が出されます。たとえば、1に対しては、
- 強力なブランド力という強みの効力を増やす方法を見つける。
- 強力なブランド力という強みからの追加的なベネフィットを見つける。
- 強力なブランド力という強みを活用することなく、ソーシャルメディアの台頭という機会を獲得する方法を見つける。
- 脆弱なチャネルという弱みの有害な性質の削減に向けて、強力なブランド力という強みの効力を増やすことを試みる。
いかがでしょうか?慣れるまでに少し時間がかかるかもしれませんが、漫然とSWOTの一覧を眺めるよりも、具体的な解決策に結び付くアイディアがたくさん浮かぶようになるでしょう。ケースにおいては4つのSWOT要因のみで考えてみましたが、実際のSWOT要因間の因果関係や相互作用は図のようになるかもしれません(図5)。この場合、問題解決のための指示は、折衷案を含めて100近くになると思います。もちろん、全ての指示に対してアイディアが浮かぶわけではありませんし、その必要もありません。
さらに、連載の第15回で簡単にご紹介した「SCAMPER」というテクニックを補助的に活用することにより、妙案が浮かんでくるかもしれません(図6)。