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【伊藤穰一×松尾豊】激論:人工知能とデジタル通貨をめぐって

グローバルビジネスハブ東京レポート

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MITメディアラボ所長の伊藤穰一氏、人工知能の第一人者の松尾豊氏とのディスカッションが東京・大手町に出来た「グローバルビジネスハブ東京」のオープニングイベントで行なわれた。AIとFinTechというふたつのイノベーションの可能性を語り、今後の予測についての両氏のスタンスの違いも鮮明となった。熱のこもったクロストークの内容をお届けする。

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デジタル通貨はまだインターネットの前夜、投資過熱は警戒せよ

伊藤穰一氏(マサチューセッツ工科大学教授 メディアラボ所長)

草創期からインターネットのビジネスをリードしてきた日本人としては数少ないビジョナリーの伊藤氏と、人工知能(AI)の第一人者の松尾氏の対話は、FinTechとAIの現状認識からスタートした。
伊藤氏はAIが機械学習の進展によって今注目を浴びているのは意味のあることだが、その一方のFinTechについては今のブームは時期尚早と語る。

伊藤:ビットコインもFinTechも、インターネットでいえば、1989年か1990年ぐらいの段階。当時はまだプロバイダーもない状況だった。その段階にあるFinTechに現在1000億規模の投資が進んでいるのは、まだ早すぎると感じている。

伊藤氏自身は、デジタル通貨のビットコインの基盤技術であるブロックチェーンを革新的なものとみなしている。その彼が現在のFinTech系スタートアップへの投資について、警告を発するのは理由がある。実証段階でまだ問題も多く、専門人材も少ないからだ。

その例として、伊藤氏は先日起きたThe DAOの事件について語る。The DAOとはビットコインに次ぐ取引量を持つイーサリアムによるクラウドファウンディングの組織。スマートコントラクトいう考え方で、投資家からお金を集めている非中央集権的な団体だ。このThe DAOから不正に資金が流出した事件が、衝撃を与えている。

伊藤:The DAOの事件では、バグがあったことによって何十億のお金を引き出されてしまった。何が問題かというと、通常の犯罪のように被害者にお金を返すとプログラムですべて決めるというルールそのものを破ってしまうこと。ルールの信頼が失われた以上、何をやっても負けてしまう。

スマートコントラクトのプログラムは、Webの言語であるJava Scriptに似ていると伊藤氏はいう。しかしWebと違うのは、失敗のやり直しがきかないということだ。だからこそ、まだまだ実証が必要だと伊藤氏は訴える

伊藤:初期のインターネットの頃も、日本でもルーターの設定が出来るのは、(慶應大学教授の)村井純先生の研究室の数名ぐらいだった。今、ブロックチェーンやデジタル通貨の仕組みを本当にわかっているのも日本では数十名で、まだまだ危なっかしい。もっと実験をしなければと思う。

現在の会計システムは700年も前に作られた複式簿記と変わらないものであり、AIとブロックチェーンはそのシステムを大きく変える可能性を持つと言う伊藤氏。一過性のバブルに終わらせてはならないと語る。

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