メガバンクがFacebookでアクセスしてきた!?
そして、日本の活動当初、みずほ銀行の担当者からいち早くFacebookメッセージで連絡があったことも、「最初、本当かな?と思ったくらい」(澤山氏)で、日本の状況が変わったという印象を受けた象徴的な出来事だという。
連絡をしてきたのはみずほ銀行内でベンチャー支援戦略を立案する担当者だった。そして現在、同行は500 Startups Japanの最大の出資者となっている。日本での資金調達は非常にスムーズで、初回冒頭で紹介した通り3000万ドルの目標に対し、第1次募集分の1500万ドルの資金調達をわずか3カ月で完了した。
公的機関からの後押しも受けた。現在、500 Startups JapanはNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の認定VCとなっている。
これにともない、500 Startups Japanが投資した研究開発型のベンチャー企業にNEDOが追加で7000万円を限度に助成金を出す枠組みが用意されている。初期投資が必要な研究開発型の企業にとって、その支援の意味は大きい。
ベンチャー企業からも予想以上のアクセスがあるという。500 Startupsのブランドはもちろん、2人が築いてきたネットワークも生きている。「評判はなにより大事。どれだけ誠実に価値を提供していけるか、ギブ&テイクでなく、ギブ&ギブの精神を心掛けてきた」と澤山氏はこれまでのキャリアを振り返りながら、その信念を話す(ちなみに、エンジニア畑出身が注目されがちな同氏であるが、JPモルガン証券のM&Aバンカーや野村證券のリサーチャーとして金融系のキャリアも長い)。
日本を海外へ発信する!
今後の日本での活動の大きな展望は3つあるという。
1つ目が「シリコンバレーのノウハウと人的ネットワークを日本に持ち込むこと」。その中には、500 Startupsのグローバルでの投資先の人材も含まれる。300人以上のメンターに加え、1500の投資先に企業家が2人ずついるとすると約3000人の起業家の先輩がいることになるわけだ。
その中で起業家教育にも力を入れる姿勢だ。「株式の譲渡方法や契約など、企業経営で必要な知識も情報も不足している。その点をフォローしたい」と自身も起業経験を持つライニー氏は意欲を語る。ブログ(http://500startups.jp/blog/)で公開する内容も充実させていく予定だ。
2つ目は「日本のスタートアップを海外へ発信する」こと。前述のようにブラックボックスと思われている日本企業。澤山氏は「だからこそ、500 Startupsが関わることが、海外での認知度を高めるきっかけとなる。グローバルなvisibilityを高めることで、海外進出や海外からの資金調達も容易になるはず」と期待を込める。
そして3つ目は「起業家にとってM&Aというエグジットの選択肢を増やすこと」だという。では、どのような背景と戦略があるのか。