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最終回

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ケイパビリティモデル「日常的に何をすべきか」

 ケイパビリティモデルとは、「我々は毎日何をすべきか?」という質問に対しての回答を提供するものです。ケイパビリティモデルに関しては、細かくなってしまうために本連載で取り扱うことを断念しましたが、簡単に概要を説明しましょう。

 ケイパビリティとは、「ビジネスファンクションの実行能力を示すもの」です。最初に、自社のビジネスを行ううえで必要とされる最上位のビジネスファンクションを明確にすることからスタートします(10個前後がよいでしょう)。次に、そのファンクションを分解していきます(5階層前後がよいでしょう)。5階層の場合、トップファンクション、プロセスグループ、プロセス、アクティビティ、タスクといった具合に分解していきます。

 これらのビジネスファンクションの実行能力は、「戦略や戦術からみた重要性」、「現行の成熟度」という2つの視点から評価することができます、これを色分けして可視化したものを「ケイパビリティヒートマップ」と呼びます。ケイパビリティヒートマップは、経営層が自社の強みや弱み、リソースを重点的に投入すべき領域を1枚の絵で直観的に理解することができる非常に優れたチャートです(図6)。

ケイパビリティヒートマップ図6:ケイパビリティヒートマップ

 ケイパビリティモデルは、プロセス、ロジック、情報、組織という4つの柱から構成されます(図7)。

ケイパビリティモデルの4つの柱図7:ケイパビリティモデルの4つの柱

 「プロセス」は、ケイパビリティモデルの下位のアクティビティやタスクの実行順序、「ロジック」はそのアクティビティやタスクにおける判断ロジック、「情報」はプロセシングや判断をする上で必要とされるデータ、「組織」は外部組織を含む組織ユニットと必要とされる役割、それらの間でなされる交流を表すものです(図8)。したがって、前述の成熟度はこれら4つの柱から評価を行うことができます。

ケイパビリティモデルの鳥瞰図図8:ケイパビリティモデルの鳥瞰図

 ケイパビリティモデルは、ITプロジェクト、サプライチェーンの統廃合、組織改革、M&Aなどの様々なビジネスケースの基礎要件を提供します。

おわりに

 約1年半にわたり、「ビジネスアーキテクチャー集中講義」というタイトルで情報発信させていただきました。長い間、ご覧いただいた皆様には感謝申し上げます。

 今後はビジネスモデルに立ち返り、ミニセミナーやワークショップを通じた実践に取り組んでいく予定です。現在、イノベーションのための三種の神器を作成中です(図9)。ビズジェネにも折に触れて記事を書かせていただくこともあるかと思いますので、今後とも宜しくお願い申し上げます。

イノベーションのための三種の神器図9:イノベーションのための三種の神器

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この記事の著者

白井 和康(シライ カズヤス)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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