2007年のライブドア事件に象徴される新興市場上場企業の相次ぐ不祥事、さらに、2008年のリーマンショックが追い打ちをかけ、2009年~2013年の5年間はベンチャー投資の低迷が続いたが、ベンチャーの資金調達額は2013年にようやく増加に転じ、2014年は1,364億円、2015年はそれを上回る1,658億円となり、2016年もその勢いを継続している。2016年上半期の資金調達額は928億円で、これは2015年の約56%となっており、今後順調に推移すれば2015年を上回ることが予想される。
一方で、資金調達を行った企業数は2014年から減少傾向にあり、2014年1,071社、2015年946社となっている。2016年上半期は、今後の調査により情報の判明が進み増加が見込まれるものの、調達金額不明なものを含めても373社(調達金額判明のみは275社)と少ない状況である。その反面、2016年上半期の資金調達額は、すでに2015年の半期水準を超える状況から、さらなる投資の選択と集中が進行しているとみられる。
さらに、1社あたりの資金調達額(中央値)は、大型化が顕著であった2015年の1億円を超え、2016年上半期は1億820万円となり大型化の傾向が続いている。
このレポートでは初めて、FinTech、IoT、ロボット、人工知能(AI)、4つの事業領域についての分析を行った。FinTech、人工知能(AI)関連企業の資金調達状況は、2015年がピークで2016年上半期は2015年ほどの伸びはないものの堅調である。FinTech関連は新たな事業領域に入り、そして、人工知能関連は新たなベンチャープレイヤーの成長が進むことにより、どちらも今後が期待される。
IoT関連企業は、2016年上半期時点ですでに2015年を約20%上回っており、さらにロボット関連企業については53%超えている状況にあり、2016年は大幅な成長が期待できる。
なお、発表の内容について詳しくは、JVRが発行した「レポート No.R0046 2016年上半期 未公開ベンチャー企業資金調達の状況(2016年1月~6月)」にまとめられている。
2016年上半期の資金調達額は928億円で2015年通年の約56%に達する
2016年上半期の資金調達額は928億円で、これは2015年の約56%となっており、今後順調に推移すれば2015年を上回ることが予想される。資金調達を行った企業数は、今後の調査により情報の判明が進み増加が見込まれるものの、調達金額不明なものを含めても373 社(調達金額判明のみは275社)と少ない状況である。一方で、2016年上半期の資金調達額は、すでに2015年の半期水準を超える状況から、さらなる投資の選択と集中が進行しているとみられる。

1社あたりの資金調達額は大型化の傾向が続く
1社あたりの資金調達額(中央値)は、大型化が顕著であった2015年の1億円を超え、2016年上半期は1億820万円となり大型化の傾向が続いている。

地域別の資金調達金額の割合は関東が71.4%、次いで国外の12.7%
地域別に資金調達金額の割合を見ると、2016年上半期は関東が全体の71.4%と最も多い。しかし、社数の割合と同様減少傾向にあり、2014年79.6%、2015年74.0%、2016年上半期71.4%となっている。
2016年上半期に関東に次いで割合が多いのは、国外の12.7%であった。これは、Born GlobalやGo Globalを実践している企業で、ASTROSCALE PTE、Midokura、WHILL、FOVEなどが大型資金調達に成功している。
近畿(関西)は、2015年8.6%から2016年上半期7.7%に減少、一方、九州は、2015年2.1%から2016年上半期3.6%に増加し、企業数の割合と同様の傾向となっている。

FinTech、IoT、ロボット、人工知能(AI)は大幅成長期待
FinTech、人工知能(AI)関連企業の資金調達状況は、2015年がピークで2016年上半期は2015年ほどの伸びはないものの堅調である。FinTech関連は新たな事業領域に入り、そして、人工知能関連は新たなベンチャープレイヤーの成長が進むことにより、どちらも今後が期待される。
IoT関連企業は、2016年上半期時点ですでに2015年を約20%上回っており、さらにロボット関連企業については53%超えている状況にあり、2016年は大幅な成長が期待できる。