VR/AR時代は「歩く行為」がインプットになる
デザインシンキングやサービスデザインの登場で、ビジネスにおけるデザインの領域が注目を浴びている。その一方で、従来までのデザイナーにとっても、最新テクノロジーの登場によるデザインすべき対象の拡張や、デザイナーという職種に求められるスキルの変化などの波が訪れている。第一部ではソニーでチーフアートディレクターをつとめる入矢真一氏が登壇。人工知能やIoT、VR/ARなどのテクノロジーが影響を与える、「人と機械のインタラクションの変化」について考えていく。
入矢氏がソニーで担当しているのは、ソニー製品のUIデザインについて。ウォークマンやカメラといったハードウェアから、ハードウェアに搭載されているアプリやウェブサービスまで、その担当領域は幅広い。
入矢氏が最初に紹介したのは、ハードウェアをつくってきたメーカーのインターフェースの進化について。そもそも、インターフェースとは機械と人間のやり取りが生じる接続面のことを指す。インターフェースを接点としたやり取りをする際に、ユーザーの操作や行動といった「インプット」と、要求に対して何かを提示する「アウトプット」が存在する。
インプットはボタン、ペン、タッチパネル、指そのものや体全体を使って行われる。VR/AR技術を活用したゲームなどが今後主流になる時代に、例えば、歩くこと自体がインプットとなり、その行為が影響を与えるアウトプットが出てくる。今後は、センサーで人の動きや顔の表情を認識したり、声で指示を出したりと、インプットにあたる行為は拡張していくだろう。
アウトプットの種類は、テキスト、音、映像などのコンテンツが一般的だ。テレビ、オーディオ、パソコン、そしてスマホといったハードウェアから出力されることが多い。