柔軟に使えるZendeskを活用
顧客対応のオペレーションを円滑にするには、顧客対応のツールが必要になる。「日本全国や海外から顧客対応をしているため、問い合わせ状況をオンライン上で共有・可視化できるクラウドコンピューティングの仕組みが必要です」と冨樫氏。その上で、柔軟なKPIの設定ができることもツール選択のポイントとなる。
一般的なコールセンターの指標は電話対応で言えば応答率、メール対応だと24時間以内回答率が主のため、応答率や24時間以内回答率しか計測することができないツールが多い。ただ、我々のチームのミッションから考えると測定できる数値が応答率や24時間以内回答率だけでは適切とは言えません。フリーランスとクライアントの取引進行を如何に円滑に進めるか、その観点からプロセスKPIを設定し、運用することができるツールを探していました。(冨樫氏)
ランサーズは、取引進行円滑化を目的として、顧客からの疑問発生から解決までの時間を測定したかったのだ。世界の複数拠点で使えるクラウドサービスであり、柔軟なKPI測定をすることが可能なツールとしてランサーズが選んだのが「Zendesk」だった。「Zendesk」を導入してから、お客様の質問から回答を返信するまでの時間が平均14時間から平均2.5時間にまで大きく短縮することができました」と冨樫氏。これは、スタッフ全員が今どんな問い合わせにどう対応しているかが、Zendeskで容易に可視化できたことが大きく貢献している。
以前使っていたツールでは、初回対応時間を測定することもできませんでしたし、何が要因で対応時間が遅れているかなど、詳細を把握することが全くできませんでした。Zendeskを導入してからは、どのような問い合わせにどの程度時間を要しているか可視化が可能になったため、課題が明確になり改善のプロセスが回せるようになりました。(冨樫氏)
クレームへの対応やサービス仕様に関する問い合わせなどは、対応に時間がかかるものもある。Zendeskを導入して、チケット管理を行うことでそういった問い合わせが発生している状況もすぐに把握でき、適宜バックオフィスの組織も巻き込んで会社全体の課題として対処できるようになった。
Zendeskで定量的なデータを基に、問題点を各部門に伝えられるようになりました。カスタマーコミュニケーションの部隊だけで解決するのではなく、会社全体で課題に対応できるようになったのです。(根岸氏)
またZendeskは、オペレーション部分が優れていると冨樫氏は評価する。特にテンプレート機能のメリットが大きく「Zendeskには、典型的な問い合わせの回答をテンプレート化する機能があり、500種類のテンプレートを登録しています。回答文の効率的な作成だけでなく、お問い合わせ傾向やお問い合わせいただいた方の属性なども自動で設定する仕組みにしたため、導入前後でお客様対応1件当たりの生産性が150%も向上しましたし、どの属性の顧客がどのような問い合わせをしてくるかも解るようになりました。」と冨樫氏。
例えば、フリーランスがランサーズを使うにあたり困ることの代表的な例として、源泉徴収に関する質問があります。源泉徴収に関する質問は、税務知識がないと難しくて適切な回答をランサーさんに答えることができません。Zendeskだとチケットで社内の専門部署に迅速にエスカレーションを行い、その後得たフィードバックを元に即時テンプレート化することが可能なため、どのような問い合わせが来ても正確な回答をすることができます。(冨樫氏)
テンプレート化は業務の標準化、ナレッジの共有につながっている。これらも生産性向上に寄与しているようだ。