近年、オープンイノベーションを起こすための方法論として「コーポレートアクセラレーター®」が注目されている。Biz/Zine編集部では、連載やイベントレポート記事、講座などを通じて、コーポレートアクセラレーターを日本で実践する01Boosterの取り組みを発信してきた。
01Boosterは「コーポレートアクセラレーター」の方法論を用いて、様々な大手企業とベンチャー企業の共創を支援している。これまでキリン、LIXIL、森永といった大手企業とともに、アクセラレータープログラムを開催している。
今回のセッションでは、01Boosterの最新の知見をもとに、世界のコーポレートアクセラレーターが取り組むエコシステムやコミュニティ形成の方法論、イノベーションを継続的に起こすための組織変革といったトピックが共有された。
コーポレートアクセラレーターの概要は下記の記事を参考にしてみてほしい。
- コーポレートアクセラレーターとは何か―大企業とベンチャーの理想の関係をつくる方法
- 世界最先端のコーポレートアクセラレーターの今を知る「5つのケース」
- 大企業×ベンチャーによるオープンイノベーション「コーポレートアクセラレーター」とは?
イノベーションを起こすために必要な「Unlearn(学びほぐし)」という考え方
はじめに01Boosterの合田ジョージ氏が登壇。イノベーションを起こすための「Unlearn( 学びほぐし)*1」という考え方や、世界のコーポレートアクセラレーターの先端事例を「エコシステムとコミュニティ形成」という視点から解説した。
「馬車をいくら並べ立てても汽車にはならない」そう語ったのは、1912年に出版された「経済発展の理論」ではじめてイノベーションの概念を提唱したシュンペーターだ。
シュンペーターの言葉に従うならば、イノベーションを起こすためには物事をこれまでの延長線上で考えてはいけない。しかし、多くの大手企業では、オペレーションからイノベーション的な発想に、考え方をシフトできていないという。
オペレーションを回し、効率性を追求していく活動の前提には「明確な答え」があります。その一方で、イノベーションは「答えを探求するプロセス」そのもの。10回チャレンジし、1回でも当たるかどうかを素早く回すことが求められます。これまでの経験をもとに新しいことにチャレンジするのではなく、上手くいっていた方法論を捨てる「Unlearn」が、いま組織に求められているのではないかと思っています。(合田ジョージ氏)
*1:「 Unlearn 」の日本語訳として有名なのは、哲学者の鶴見俊輔氏の定義する「学びほぐし」。同氏がハーバード大学に在学時、講演のため来校したレン・ケラーにより初めて「Unlearn」という言葉に触れと述べている。その後、学んだことを一旦忘れるという意味ではなく、知識の定義から一旦離れ、知恵として消化出来るようになるプロセスを「学びほぐす」と訳語をつけて説明している。(編集部・注)