収益を拡大させビジネスの成長を支える「商品としてのIT」
ITはそれ自身が商品となって、お金を稼いでくれます。例えば、
・ スマートフォンやパソコンから楽しめるオンライン・ゲームは、ネットの世界で武器やアイテムを販売し、より難しいシナリオへの挑戦を有償で提供しています。
・ オンライン・ショッピング・サイトは、商品の品揃えばかりでなく、利用者のこれまでの購買履歴や趣味嗜好を分析し、最適な商品を推奨し、売上を拡大させています。
・ 銀行の預貯金や決済、融資といった業務は、実際の現金の移動ではなく、台帳データを書き換えることでおこなわれています。そのデータを書き換える毎に手数料が発生し、銀行に収益をもたらします。
このようにITを駆使して作った情報システムが商品となってお金を稼ぎ、ビジネスを支えています。そのため、その出来の善し悪しが収益を大きく左右することになります。
そんな「商品としてのIT」はその事業を担う人たちが責任を持って設計、構築、運用をしなくてはなりません。マーケティングや営業も深く関わってくるでしょう。当然、ITにできること、できないこと、そしてITがもたらす価値や可能性を深く理解しておく必要があります。設計、構築、運用の実務はITの専門家に任せることはできますが、その成果については事業を担う人たちが責任を担わなくてはなりません。
「商品としてのIT」と付き合うには、ITについて深く精通し、ITの専門家とどのような商品を作るかを、技術的なことにまで踏み込んで議論ができなくてはなりません。
また「商品としてのIT」は、本章で既に紹介した3つのITの総力戦でもあります。つまり、
・「思想としてのIT」が教えてくれる「これからの常識」で、新しいビジネス・モデルを描く。
・「仕組みとしてのIT」で、便利で効率の良いビジネス・プロセスを作る。
・ 「道具としてのIT」で、是非とも使いたいと思わせる使い勝手や見栄えの良さを実現する。
そんな取り組みが、魅力的な「商品としてのIT」を実現するのです。
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【本記事著者:斎藤昌義氏の書籍】
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