マーク・ワイザー、アイバン・サザーランドを超えて
はじめに落合氏は、自身が影響を受けた存在としてゼロックスのパロアルト研究所のマークワイザーの話をした。マークワイザーは「ユビキタス」や「カーム・テクノロジー」というコンセプトの発案者であり、今日のタブレットやプレゼンテーションボード、モバイル環境の生みの親ともいえる。ユビキタスといえば、一般にはデバイス機器が溢れているイメージがあるが、本来は「テクノロジーそのものを意識せずに情報そのものと向かい合う」というものだ。
そして落合氏の掲げる「計算機的自然」はこうしたコンピュータ・ヒストリーの流れを組み、さらにその先を模索しているようだ。「計算機的世界/デジタルネイチャー」を多様にしてくための「計算機的多様性」が必要だと語る(落合氏は「計算機的=Computattionalをほぼ「デジタル」と同義で用いる)。現在人々は、デジタルな世界と向かい合っているが、その世界は多様性を欠いている。たとえば、全員がスマホを持っているが、iOSとAndoroidの2しかないというように。