地域文化と経済の新たな循環は、「全体観」と「外との交易」から生まれる

地域文化と経済のあいだ(2) うなぎの寝床代表取締役 白水高広氏 後編

 地域の資源と文化、可能性を紐解き、新たな経済を生み出すためには何が必要なのか―。本連載では、次代のデザイナーのための教室「XSCHOOL( http://makef.jp/xschool/ )」をプログラムディレクターの一人として福井で実践する、リ・パブリックの内田友紀が、さまざまな地域の文化と経済のあいだで活躍する人と組織を取材。地域文化と経済の新しい循環系と、そこから見える未来について考えていきます。
 福岡八女市に拠点を構える、「うなぎの寝床」代表取締役の白水高広氏にお話を伺った連載第一回目。今回はその後編です。前編はこちら

[公開日]

[語り手] 白水 高広 [聞] 内田 友紀 [取材・構成] 白井 瞭 佐々木 恵美 [写] 西田 佳世 [編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] 地域経済 事業開発 社会・公共 東洋医学 うなぎの寝床

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地域文化商社は、東洋医学的に全体観から考える

内田(株式会社リ・パブリック 共同代表):
 前回のお話では、文化と経済のバランス、産地の作り手さんたちとの関係性が見えてきました。
 うなぎの寝床は白水さんの他にも、個性的なメンバーが多いですよね。

白水(株式会社うなぎの寝床代表取締役):
 ほとんどが県外出身で、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)を卒業して、特殊ポンプメーカーの社長秘書をやっていた人や、京都工芸繊維大学を出て、劇場などの公共施設の家具の製造会社にいた人、ヨーロッパや中南米を旅していて、英語とスペイン語とシンハラ語ができるメンバーもいます。

 それぞれ人とのコミュニケーションの取り方が違うし、いろんな人が地域の資源を見た方がおもしろいと思っています。

うなぎの寝床うなぎの寝床のメンバー
*(写真提供)うなぎの寝床

 共通点は、みんな仕事や地域に対してそんなに思い入れがない。これは実は結構重要だと思っていて、思い入れがあったら客観的に判断できない。もちろん誰でも義理人情みたいなものは絶対出てくるし、それはそれで別にいいと思うんですけど、思い入れが強すぎると、何が有効かを客観的に判断することができなくなっちゃうんですよね。例えば織元さんが20数軒ある中で自分の好きなところしか入れないとか。でもそれだと結局、経済が回らない。

内田:
 地域の文化を担保するためにこそ、客観的に判断して、経済を成り立たせることが重要なんですね。
 都市圏でも地域の物を扱うお店もすごく増えてきて、ある意味うなぎの寝床と同じような業態の会社もあると思うんですが、その違いってどこにあると思いますか?

白水:
 都市圏の会社はどちらかというと、自分たちの意義がどうあるべきか、というところから、仕事に落とし込んでいるんじゃないかと思いますが、僕は地方で地方を考えることが重要だと思っています。僕らはその地域の人たちと関わりながら、たとえば作り手の人たちが、たまたま情報発信が得意じゃなければ、そういう機能を担います。

 なので、僕らの仕事は建築・都市計画的だなとよく思います。都市計画上、ここが抜け穴として足りていないから、ここをやりましょうと。

内田:
 まちが成り立つにはさまざまな条件や要素があって、白水さんたちはそのまちが機能するために足りない役割を担っている、ということなんですね。

白水:
 言い方を変えると、東洋医学だと思ってます。

内田:
 東洋医学?

白水:
 西洋医学は問題を突き詰めて、それに対して薬を開発して処方するっていうやり方。でも東洋医学は全体観から見て、このへんが悪くなりそうだから漢方で強化しとこうみたいな。

 うちのアンテナショップは、将来的に地域にはそういう機能があった方がいいんじゃないかと思ってつくりました。もんぺ事業も、久留米絣の織元さんが「メーカー的な機能はやれない」と言うし、「量を買い取ってもらった方がありがたい」と言うので、僕たちがたまたまやっている。

 だから手段はどうでもよくて、全体のシステムから考えて、足りない部分を補完するのが大事だと思います。

内田&白水

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