JR東日本グループは、これまでの「当たり前」を超えグループの持続的成長をステージアップするため、新たなグループ経営ビジョン「勇翔2034」を策定した。
1.グループ経営ビジョン「勇翔2034」の全体像
「勇翔2034」では、「究極の安全」を経営のトッププライオリティとして堅持する中、「成長のための5つのエンジン」で、グループ内におけるこれまでの常識や、ステークホルダーが同社グループに対して抱く期待水準・イメージという「当たり前」を超えていくという。そして、ライフスタイル・トランスフォーメーション(LX)を創造し、安心と感動をステークホルダーに届けることを通じて、すべての人の心豊かな生活を実現。

2.「変革2027」からのアップデート
「勇翔2034」では、個の価値観の多様化によりヒト起点のサービスの重要性が増してきていることを踏まえ、「ヒト起点のマーケットイン」を事業活動の起点に据える。価値創造のフィールドとして「都市、地方、世界」に宇宙を加え、モビリティと生活ソリューションの二軸で「当たり前」を超えるという。

3.すべての事業の基盤となる「信頼」
同社グループは、先人が培ってきた経験・技術を継承するだけでなく、最先端の技術力で社会を変えていく真の技術サービス産業をめざすことでステークホルダーの期待に応え、すべての事業の基盤である「信頼」をより強固なものにしていく必要があると考える。
ひとたび不正・不祥事・重大な事故などの事象を発生させてしまうと、ステークホルダーからの信頼を失い、グループの事業の基盤が崩壊しかねないということを強く意識。2024年度から相次いで明らかになった信頼を損なう事象を厳しい教訓と捉え、コンプライアンスの確保とグループ全体のガバナンスの改善と強化に取り組み続けるという。

4.「信頼」を拡大させる「すべての人にとっての安心」
同社グループは、「究極の安全」の追求を経営のトッププライオリティとして堅持。鉄道輸送をはじめとした商品・サービスの品質を高め、すべての人に「安心」を感じてもらうことをめざすとのことだ。

「究極の安全」の追求にあたっては、2023年に策定した「グループ安全計画2028」のもと、「安全文化」や安全の「しくみ」「設備」などの安全の基盤を強固にするとしている。
5.「当たり前」を超えていく
「勇翔2034」では、失敗を恐れず果敢にチャレンジする企業風土を一層強固なものとするという。加えて、社員一人ひとりが10年後の同社グループを自ら創るという起業家精神をさらに高めていくことで「当たり前」を超えていくとのことだ。

6.技術力の「深化」と「進化」
「当たり前」を超えるための重要な要素となるのが「技術力」。オープンイノベーションでグループ内外から最先端の技術や知見を取り入れるとともに、「ヒト起点」の発想で技術を融合させるという。同社グループは最先端の技術力で、安全で安心できる商品・サービスを届ける技術サービス企業グループをめざすとのことだ。

7.LX
「勇翔2034」で創造する価値はLX。同社グループは社会課題や潜在ニーズに向き合うという。そして、思いやりとワクワクにあふれる社会を創り、新たな未来をデザインするとのことだ。

8.二軸経営による成長戦略
2025年秋に発表予定の「モビリティ中長期戦略」と、2024年6月に発表した生活ソリューションの中長期ビジネス成長戦略「Beyond the Border」のもと、モビリティと生活ソリューションそれぞれで強みを生かした成長戦略を推進するという。

9.数値目標(連結)
「勇翔2034」のKGI [Key Goal Indicator](長期的な経営目標)として、「2031年度ROE10%以上」を掲げる。既存事業の成長と非連続な成長を通じて2031年度の営業収益4兆円超をめざし、5兆円の営業収益規模(2034年度)に向けた成長軌道を描くとのことだ。

10.キャッシュアロケーション
各ビジネスの利益成長による営業キャッシュ・フローの拡大に加え、不動産販売の規模拡大や政策保有株式の縮減によるアセットマネジメントを組み合わせ、キャッシュインを最大化。獲得したキャッシュは、「成長資金」および「基盤維持・強化資金」に重点的に充てつつ「LX資金」にも振り向け、思いやりとワクワクにあふれる社会を創るという。株主還元では、成長投資とのバランスを勘案しながら2027年度に向けて配当性向を段階的に40%に引き上げ、あわせて柔軟に自己株式取得を実施するとのことだ。

【関連記事】
・パーソルホールディングス、適切にAIを開発・活用するための「パーソルグループAI基本方針」を策定
・NAAグループ、2025~2027年度の中期経営計画「Gear Up NRT」を策定
・セブン-イレブン×AUBA、地域経済・観光・健康がテーマの共創プログラムにて5社のパートナーを採択