山口周さんが語る、ビジネスにおける「アート」と「サイエンス」のリバランスとは?

Zen2.0セミナーレポート Vol.1

 9月2日(土)・3日(日)の二日間、日本の禅の中心地・鎌倉の建長寺で行われた初のマインドフルネス国際フォーラム「Zen2.0」。国内外からさまざまな分野のスピーカーが招かれた。「ビジネスにおける『アート』と『サイエンス』のリバランス」と題された講演では、世界有数のコンサルタント企業コーン・フェリー・ヘイグループの山口周氏が登壇し、ビジネスの世界における美意識の重要性について語った。

[公開日]

[講演者] 山口 周 [取材・構成] 近藤 世菜 [編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] マインドフルネス 事業開発 アート サイエンス Zen2.0

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あなたが仕事によって生み出すものは、「後世に残したいもの」か「ゴミ同然のもの」か?

 「アート」と「サイエンス」。このふたつは、決して相反するものではないが、いまの世の中は「サイエンス」に偏りすぎて、「アート」がないがしろにされている。「Zen2.0」で山口周氏が行った講演では、「アート」と「サイエンス」の理想的なバランスについて問題提起がなされた。

 まず山口氏は、会場の来場者に向けて、「ひとつの問い」から講演をはじめた。

地球に人類が住めなくなって、スペースコロニーに移住するとき、各国の文化遺産をひとつだけ持っていけるとしたら何を選びますか?

 山口氏は、同様の問いをほかの講演やワークショップ、プライベートでも多くの人に投げかけているというが、回答は決まって、国宝や重要文化財など、10世紀~17世紀ごろにつくられたものに集中するという。一方、20世紀~21世紀につくられたものはほとんど言及されない。またこれは日本に限られた話ではなく、世界のどんな国でも同じような結果になるという。

つまり、多くの人が価値を感じているものは、産業革命以前につくられたものだということです。現代人が、莫大な地球資源やコンピュータの力を使い、心身を困憊(こんぱい)させながらつくっているのは、決して子孫に残したいようなものではない。言ってしまえばゴミも同然ということです。個人的には、20世紀の文化である『ビートルズ』は宇宙にも持っていきたいですけどね。

 この「問い」は、多くの人にとって目から鱗だったのではないか。自分の労働によって生み出されたものを、はたして宇宙にまで持っていきたいかと問われると、自信をもって「YES」と答えられる人は少ないだろう。

 それではなぜ、人々は多くの資源や人的リソースを使って、取るに足らないものをつくるようになってしまったのか。

山口周山口 周 氏(コーン・フェリー・ヘイグループ シニア クライアント パートナー)
1970年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科卒業、同大学院文学研究科美学美術史学専攻修士課程修了。電通、 ボストン・コンサルティング・グループ等を経て、組織開発・人材育成を専門とするコーン・フェリー・ヘイグループに参画。現在、同社のシニア クライアント パートナー。専門はイノベーション、組織開発、人材/リーダーシップ育成。著書に『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」』『世界で最もイノベーティブな組織の作り方』『外資系コンサルの知的生産術――プロだけが知る「99の心得」』(以上、光文社新書)、『外資系コンサルのスライド作成術――図解表現23のテクニック』(東洋経済新報社)など。神奈川県葉山町に在住。

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