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食の世界のイノベーション──イタリアンシェフと分子調理学者が語る、サイエンス視点で見る料理の楽しさ

Smart Kitchen Summit Japan 2018セミナーレポート Vol.1

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 食や料理の世界にもテクノロジーの波が押し寄せる中、立場や視座が異なる人々が業界横断的に集まり、アイデアや発想を組み合わせ、日本の新しいキッチンとライフスタイルを共創するイベント「Smart Kitchen Summit Japan 2018」が開催された。その中から、「アル・ケッチァーノ」オーナーシェフの奥田政行氏と、宮城大学食産業学群 教授の石川伸一氏による講演「サイエンス視点で見る料理の楽しさ:食の科学とスマートキッチンの出会い」の模様を紹介する。

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アル・ケッチァーノのオーナーシェフ奥田政行氏が語る、食材・調理法への科学的アプローチは「思考→異分野共創→データ化→舌へのフィードバック」

 料理やキッチン、食の未来について語り合い、世界的なイノベーションへと展開することを目的に、2015年より米国でスタートした「Smart Kitchen Summit」。日本での開催は2017年8月に次いで2回目となり、フードテック企業やキッチンメーカー、料理家など食に関するプレーヤーはもちろん、起業家、投資家、デザイナー、そしてビジネスクリエイターなど、様々な分野から多くのプロフェッショナルが集まり、2日間に渡って熱気あふれるイベントとなった。

 中でも注目を集めたセッションが、「サイエンス視点で見る料理の楽しさ:食の科学とスマートキッチンの出会い」をテーマにした、「アル・ケッチァーノ」オーナーシェフの奥田政行氏と、宮城大学食産業学群 教授の石川真一氏という異色の組み合わせによる講演である。

 まず登壇したのは、山形県鶴岡市の人気イタリアンレストラン「アル・ケッチァーノ」のオーナーシェフである奥田政行氏。『「だし」でつながる世界のUMAMI』と題して講演を行なった。奥田氏は世界的な料理コンテストでも多数入賞するなど、日本で最も成功しているシェフの一人だ。独自の料理理論や地域の食文化を盛り込んだ著書『食べもの時鑑』がグルマン世界料理本大賞を受賞するなど、食材や調理法に関する徹底した研究でもよく知られている。

食べもの時鑑食べもの時鑑』(奥田政行・著 / フレーベル館・刊)

 奥田氏は自身の成功の秘訣として「一人ひとりの容貌や好みなどに合わせた味付けをしたこと」をあげ、「髪や目の色、体格などで好みの味付けがだいたいわかる。おそらくデータ化すれば、一定の傾向が見えるのではないか」と語る。

 そうした奥田氏の食材や調理法に対する科学的なアプローチ法は、雪国山形で育まれた。雪に閉ざされる中、キッチンにこもって食材や調理法に向き合う「思考の時間」。その思考をもとに、飲食業界の中では出会えない“異業種”の科学者や研究者との出会いがあり、データ化による新たな気付きが生まれ、それらを再び「舌の上」で検証するうちに体系化されてきたというわけだ。

奥田政行奥田政行氏(『アル・ケッチァーノ』オーナーシェフ)
1969年山形県鶴岡市生まれ。高校卒業後、東京のイタリアン、フレンチ等で働く。26歳で帰郷し、鶴岡ワシントンホテルに就職、翌年料理長に就任。2000年にレストラン アル・ケッチァーノを独立開業。
山形県庄内総合支庁より「食の都庄内」親善大使に任命される。スイスダボス会議JapanNight2012では料理総責任監修を務める。農林水産省料理人顕彰制度「第一回料理マスターズ(シルバー賞)」受賞。著作『食べもの時鑑』が料理本のアカデミー賞と称される「グルマン世界料理本大賞2017」において食の遺産部門グランプリを受賞。

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ダシの研究の成果を“音符化”し、一皿の料理として“作詞作曲”したレシピ=“楽譜”を作り、共通食材で各店舗のシェフが“編曲・演奏”する

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