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先入観を突破する「クリエイティブ・シンキング」

デザイン思考の限界を超え、“認知パターン”を意図的に操作する「クリエイティブ・シンキング」とは?

第1回

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クリエイティブ・シンキングを学ぶ前に考える、デザイン思考の各ステップから考える「特性」と「限界」とは?

 私は、ロスアンゼルスとニューヨークで、ブランディングデザインディレクター、UXデザインディレクター、デザイン戦略家として、約20年間の経験をベースに、2004年にCreativeGymを創業いたしました。CreativeGymでは、企業のスタッフの皆様と共に行うイノベーションワークショップのファシリテーションや、企業向けのクリエイティブ・シンキングのトレーニングプログラム導入支援を提供させて頂いています。

 アメリカで生み出された「デザイン思考」(または「デザイン・シンキング」「ヒューマン・センタード・デザイン」)と呼ばれるメソッドをご存知の方も多いと思います。

 デザイン思考は、現場観察などを通してイノベーションの糸口を見つけていく手法で、現存するサービスや製品に対して、問題点を洗い出し、解決していくのに大変強力なアプローチです。デザイン思考は、いわゆる「1→10フェーズ」、つまり段階的なイノベーションに向いています。

 デザイン思考は、第1ステップの「共感(Empathize)」 と第2ステップの「問題定義(Define Problem)」を経てから、第3ステップで「問題解決のブレインストーミング(Brainstorming Solutions)」 をしていきます。この各プロセスを細かく見ていくと「特性」と「弱点」が見えてきます。

ステップ1 「共感(Empathize)」の特性と限界

 デザイン・リサーチを通して共感という作業をする際、対象となる人たち(ユーザー)を絞り込む必要があります。現存のユーザーとなる人々の観察やインタビューを通して、共感し、見えないニーズ、問題のパターンを発見していけるので、そこからイノベーションの糸口を掴んでいくことができます。

 しかし、全くユーザーとして考えられていない層は、「共感」をするリサーチ対象にすら加えられていません。デザイン思考は、ユーザーすら特定できていない段階で、新しい商品、サービスを考えていくのは得意としていません。

ステップ2 「問題定義(Define Problem)」の特性と限界

 ステップ1の「共感」で問題点を洗い出し、パターン認識を通してインサイトを表面化することを経て、「我々はどうすれば○○できるだろうか (How might we …)」という形で解決すべき問題を定義していきます。このようにある特定の対象の問題点を洗い出せる時、デザイン思考は大きな力を発揮します。

 ところが、特に問題点がないという状況で新しいアイデアを考えていきたい場合、デザイン思考はあまり有効ではありません。

ステップ3 「解決策のブレスト(Brainstorming Solutions)」の特性と限界

 ブレインストーミングはアレックスオスボーンが考案した、4つのルールに則って少人数でアイデアを考えていくやり方です。日本にも「三人集まれば文殊の知恵」という表現があるように、自分と異なる思考パターンを人たちと、思考の相互作用がうまく起きれば、斬新なアイデアが生まれてきます。

 しかし、往々にしてブレインストーミングに参加する人は、ある程度、思考の傾向が似ている人たちが集められていることが多くないでしょうか。例えば、同じ会社、部署、チームの人間であれば、似通った思考パターンを持っている可能性も高くなってきます。

 そして、多くの場合、自分が慣れ親しんだ思考の癖、思考パターンをそのまま使って解決策を考えるので、生み出されたアイデアや価値は、自分の先入観の延長線上にあるものになってしまいがちです。

 デザイン思考の最大の落とし穴は、先入観に囚われた状態を脱却せずに思考し、ありきたりなアイデアを出し続けやすい、という点にあるのです。

 0から1を生み出し、ブルーオーシャン市場の開拓をしていくために、どのように先入観から脱却して、アイデアを考えていくことができるのでしょうか。

 次に、先入観やバイアスがイノベーションを生むアイデアにどのような影響を与えるのかを見ていきましょう。

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この記事の著者

梅原 タカオ(ウメハラ タカオ)

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