大企業が「新規事業創出」で気を付けるべき“社内のリソース配分”とは?
最初に、500 Startups Japan マネージングパートナーの澤山陽平氏が登壇し、大企業が新規事業を創出するために考えるべきリソース配分と、オープンイノベーションのためのフレームワークについて紹介した。
あらゆる企業がオープンイノベーションに取り組んでいるが、多くの企業は何から実施すればいいのか分かっていません
と、澤山氏は始めた。
企業がオープンイノベーションに取り組む際には、アクセラレーターや、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)の設立、ピッチイベントの開催、コワーキングスペースの設置といった様々な活動がある。では、企業はどのように選択していけばいいのだろうか。澤山氏は、その解決のための「リソース配分」と「フレームワーク」を紹介する。
企業が新規事業を創るための方法は、大きく分けて3つある。企業が自社で内製する「R&D」、内製と対極にあり、今では企業の戦略の一つとして定着してきた「M&A」、そしてそれらの中間として位置する「スタートアップ企業との連携」だ。
社内で新たに事業を立ち上げるR&Dは、ゼロから立ち上げるため、事業化まで時間がかかる傾向にある。また、事業化できないリスクもある。そして、社内の人材を活用するため、多くのコストがかかっている。一方、「M&A」ですでに出来上がった事業を買収する場合、すぐにPLやBSに貢献するため、時間はかからない。また、買収後の連携(PMI)に関するリスクはあるものの、すでに事業化できているため、R&Dよりもリスクは低いといえる。しかし、そのように業績にすぐに貢献する企業は非常に高額になる。海外の事例では、ヒゲ剃りのサブスクリプションサービスを提供しているDollar Shave Clubを、2016年にユニリーバが10億ドルで買収した。すでに事業として成立している企業の買収は非常に高価になるのだ。
そこで澤山氏は、「オープンイノベーション」を勧める。
オープンイノベーションの特徴として、事業化に必要な時間は、ゼロから立ち上げるR&Dと出来上がった事業を買収するM&Aの中間ということが挙げられる。また、スタートアップ企業が検証するためリスクは限定的で、社内リソースをつぎ込むことも高額で買収することもないので費用も低いことも特徴だ。
しかし、だからといってオープンイノベーションとして、スタートアップ企業との連携だけを実施すればいうわけではないと澤山氏は語る。
企業の「新規事業創出」という活動の中で、時間や人材、資金といった“社内のリソース”をどのように配分するかを考えることが大切です