アバナードの調査から、ブロックチェーン、対話型AI、IoTのようなテクノロジーを有効と評価する一方で、クラウド、ソーシャル、モバイルといった数年前のテクノロジーと比べると、現在のエマージング・テクノロジーは相互依存性が高く、難易度が高いと考えていることがわかった。最大の懸念として、専門人材の不足を挙げているという。
アバナードのエマージング・テクノロジー部門のグローバル統括を務めるAaron Reich(アーロン・ライヒ)は「新しいテクノロジーの導入が急務だとほぼすべての企業は認識しています。しかし、実際導入するにあたっての問題は、スピード感をもって導入するのに必要な人材を確保できるとは限らないことです」と話す。
その他、エマージング・テクノロジーの導入を阻む障壁として、以下を挙げる。
相互依存性
ほぼすべての経営幹部は、ブロックチェーンはメリットをもたらすと回答し、特に、金融サービス会社、消費財、物流での効率向上に期待している。しかし、ブロックチェーンが自社に適切かどうか、適切だとしてもどのように進めるべきか疑念を感じているという。実際、ブロックチェーンの導入率は現在24%で、そのうち58%が自社独自のブロックチェーン基盤やアプリケーションを構築済み、または構築する予定だと答えた。導入にあたっての課題として、ブロックチェーンがAIやIoTのような他のテクノロジーに相互依存していることを、回答者の半数以上が挙げている。
理想vs現実
量子コンピュータに注目が集まる中、調査では、理想と現実の間の大きなギャップが明らかになった。94%が量子コンピュータを導入する意向で、61%は3年以内の導入を予定している。しかし、量子コンピュータはまだ開発途上で普及の段階にないため、実際にそのように導入が進むのはごく一部の業界に限定されるという。回答者の80%が、量子コンピュータとその潜在的な用途や利点を完全に理解しているわけではないと答えている一方、量子コンピュータがデータアナリティクス、予測、パターン認識、セキュリティ(サイバー攻撃対策等)をはじめとする多くの分野にインパクトを与えると確信しているという。
セキュリティとプライバシー
調査によると、回答者のほぼすべてが対話型AIを実装済みか、実装を計画しており、目的としては過半数がITトラブル対応を挙げている。対話型AIの導入率は32%で、50%近くが試験運用中。対話型AIに関する主な懸念はセキュリティとプライバシーで、これらに関する他の問題としてデジタル倫理を挙げている。顧客や従業員の信用を脅かすおそれのある、AIや他のテクノロジーをめぐる倫理的な問題に対して、自社の準備は万全とは言い切れない、との回答が80%を占めた。