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自動車産業からモビリティ産業へ──異業種企業が共創で実現する、社会課題を解決するMaaSの本質とは?

SHARE SUMMIT 2019レポート:Vol.2「MaaS時代の移動革命」

 日本の基幹産業ともいえる自動車産業。「CASE」という大きな技術革新の波が訪れ、複数の移動手段やサービスを組み合わせるモビリティ産業への変革が求められている。では、その成功の鍵とは何か。そのヒントが「SHARE SUMMIT2019」で明かされた。自動車メーカーを含むモビリティ産業のキープレイヤーが集い、これからの変革の糸口を探った。

[公開日]

[講演者] 中村 愼一 金谷 元気 藤原 靖久 馬場 光 塩出 礼子 [取材・構成] 保 美和子 [写] 和久田 知博 [編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] 事業開発 シェアリングエコノミー モビリティ MaaS CASE

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なぜ「損保」が「モビリティ事業」に参入するのか

 パネルディスカッション冒頭、個人間カーシェアリングAnycaを運営するDeNA SOMPO Mobilityの馬場氏が、モビリティ事業へ新規参入を果たした損害保険ジャパン日本興亜(以下、損保ジャパン日本興亜)の中村氏に対し、なぜこのタイミングでの参入に至ったかを投げかけた。

 損保ジャパン日本興亜は、DeNAと合弁で、個人間カーシェアの「DeNA SOMPO Mobility」(サービス名称:Anyca)とマイカーリース事業の「DeNA SOMPO Carlife」(サービス名称:SOMPOで乗ーる)を設立。また、駐車場シェアリングのakippaに、SOMPOホールディングスとして33.4%を出資している。「共創」を戦略の軸に据え、矢継ぎ早に施策を打ち出し、モビリティ産業のキープレイヤーとなるべく活動している。

 保険事業はビッグデータの宝庫でもある。例えばカーシェアで人気の車種の情報も、車をすでに手放し空き駐車場と化しているオーナー情報も、全国の3分の1特定できるデータを保有している。

 さらに中村氏は顧客へのアプローチ方法も多数あると話す。全国にある5万もの代理店を活用すれば、リアルな接点から説得力のある提案を顧客にできる。他にもWEBや郵送物などで、デジタルとアナログ両面で効果的にユーザーへリーチすることが可能だ。データ、チャネルこそ新たなモビリティ事業に活用できる価値、と中村氏。

 そして、シェア事業の重要なファクターである「安心安全」を保険会社が提供することでより、モビリティ産業そのものの裾野を拡大できると述べた。

 では、「車離れ」という現象に対しては、どのような施策を展開しているのだろうか。中村氏は、高齢者の「車離れ」という危機的な状況に逆転の発想で対応したアライアンス戦略のシナリオを明かした

代理店は、車を手放した顧客に対してakippaの駐車場シェアリングへの登録を勧めます。駐車場オーナーには駐車場収入が入り、代理店には手数料が入ります。また、駐車場のオーナーとユーザー双方のリスクに配慮した、駐車場シェアリング専用の保険商品の提供も検討しています。Anycaの自動車の受け渡し拠点としてakippaの駐車場を活用するなど、両社のサービスの連携も加速すると考えています

 さらに中村氏は、大企業の遊休資産に注目している。稼働していない社用車、駐車場などを有効活用したい企業は多い。損保会社が持つ豊富な営業チャネルを活用して、Anycaやakippaのサービスを法人向けに拡大する取り組みも行なっている。

中村愼一損害保険ジャパン 日本興亜株式会社 執行役員 ビジネスデザイン戦略部長 中村 愼一氏

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