今回の調査の結果、DXの取り組みとして「コスト削減」「リスク回避」「品質・操業改善」を狙っているという回答が上位となった。コロナ前後の比較では、「リードタイム短縮」がコロナ後6ポイント上昇。コロナ禍による部品納品の遅れや、物流需要の高まりによる遅配の影響もあり、意識が高まったと考えられる。その他の項目は、コロナ前後で大きな差は出なかった。
コロナ禍前後で、企業のDXを推進する上での課題に変化はないが、「ビジネスがコロナ禍前に戻らない」という新たな課題を感じているという回答が14%となった。DX推進における課題の上位は「効果や目的が不明」「目指したい姿が不明」「進め方やアプローチ方法が不明」「人員がいない」だった。DX推進上の課題について、約半数が「自社内で課題解決を図っている」と回答。コロナ禍後は「取引先と相談」という回答が増加している。
DX推進において、産業領域で「社員や顧客の健康・衛生管理」の重要性が高まるコロナ禍後は「進め方やアプローチ方法が明確になっている」「社員や顧客の健康・衛生管理に配慮できている」の回答が上昇している。コロナによりDXのニーズが高まり、推進するための具体的な手法や、社員の健康・衛生管理などへの意識が高まったことが伺える。健康・衛生管理については金融・保険業、製造業、農林漁業、医療福祉、保険といった業種の方が重要だと回答している。
「データ・セキュリティ対策」については、コロナ禍後は全体の62%が重要と回答した。リモートワークやWeb会議など、データを社外で扱う機会が増えた企業も多いため、セキュリティ対策への関心が高まったと考えられる。また、今回の調査の特筆すべきポイントとして、事前の想定通りで回答者全体の約60%がコロナ前の状態にビジネスが戻らないことを懸念していることがあげられる。
また、経営者、役員クラスの65%以上がコロナ禍以前、以後ともにDX推進において「推進するための予算の確保」が重要と回答している。
今後の検討事項として「リモートでDXを推進できる仕組み」「各拠点の仕事現場の様子をオンラインで一括管理把握できる仕組み」の回答が上位となった。コロナ禍後はリモートやオンラインで完結できる仕組みが求められていることが分かる。非対面でDXが推進できる仕組みや、遠隔地の設備、人の稼働状況をオンラインで一元把握・管理できる仕組みなどの需要は今後さらに高まると予想している。