近年、働き方改革の推進や、デジタル人材の需要が高まるにつれて、日本企業においてジョブ型雇用の必要性が論じられるようになってきたが、2020年に入り、新型コロナウイルスの感染拡大への対応としてのリモートワークの導入とこれに伴って求められる仕事の明確化やアウトプット重視のタスク管理が、ジョブ型雇用の導入をさらに後押しした。今や、“ジョブ型雇用“への移行は、日本企業にとって大きなトレンドに成長し、多くの企業が、雇用の在り方についてもニューノーマルを模索し始めているといえる。
調査結果ハイライト
参加企業数は過去最多の737社(58社増加)のうち、日系企業は204社(97社増加)を占めた
- ハイテク産業、ライフサイエンス産業およびその他産業(増えたのはFintech系企業)を中心に、日系企業の参加数が増えた
- 外資系企業(日本法人)と比較して、日系企業(本社)は組織規模が大きいため、参加企業における大規模組織の参加割合が増加した
日本企業の課長の賞与込み年間報は1,040万円(昨対比3%Up)、部長は1,362万円(昨対比6%Up)であった
- 日系企業、外資系企業の報酬水準額を2019年水準と比較すると外資系企業はどの職位でも2%に対して、日系企業は職位が上がるにつれて報酬上昇率が上がった
- 報酬上昇の差は、参加企業変動(日系大企業の参加増)によるものと考えられる。また、サーベイデータは2020年7月時点の報酬制度を前提に収集されていることから、新型コロナウイルス感染拡大による影響は限定的といえる
職種別に日系企業・外資系企業の総報酬(手当・賞与込み)を比較すると、営業/マーケティング、データアナリティクス職種の報酬は、全職種中央値を上回っている
- 日系企業、外資系企業の職種別報酬差を比較すると、外資系企業では職種間の報酬差が大きい
- 特に、営業/マーケティング、データアナリティクス職種については、外資系企業では入社1~5年目から他職種よりも報酬が高く、その報酬差は年間報酬ベースで100万円を超える
マーサー 総報酬サーベイ(TRS)について
マーサーが30年以上実施している『総報酬(給与・福利厚生)』のコンセプトに基づく市場調査で、一般に総報酬調査・総報酬サーベイとも呼ばれるもの。
Total Remuneration Survey(TRS)の特徴
- 世界140ヵ国で実施され、グローバルトップを含む35,000社以上/1,500万人以上のトップポジションから非管理職層まで、全役職員の報酬情報を収集、提供している。
- 世界同一基準で実施されており、国内だけでなくグローバルで横断的に活用できる。
- 基本報酬、固定/変動賞与、各種福利厚生等の報酬水準のみならず、昇給率、賞与支給状況、雇用動向など労働市場のトレンドも確認することができる。
- 日本では、2020年は737社が参加し、日本の報酬調査として圧倒的な規模となる。