「MaaS」は、地域のあらゆる移動手段をシームレスに利用できることを目指した次世代のモビリティサービスで、社会課題を解決するための手段として、2025年大阪・関西万博の基本計画のなかで「未来ショーケース事業」として取り上げられている。
今回作成した「“密”緩和に向けたMaaSソリューション調査レポート」では、都市圏中心にMaaSを先進的に取り組んでいる企業等の8団体に直接取材を行い、関西地区を想定した大都市ならではの普及に向けたポイントを抽出。それに基づく提言をまとめている。
このレポートにおいて、MaaSは都市部のコロナウイルス感染防止に向けた3密の緩和への有効な手段となるだけでなく、幅広い異業種が連携した、「未来の移動や購買行動のショーケース」となる可能性があるソリューションであることを提言している。
レポートのポイント
「外出先やイベント等」の人流データの予測・可視化
外出動機となる場所やイベント等の入場・来場予定に関するデータが共有できれば、人流の制御および分散を図ることができ、地域経済全体の活性化に役立てることができる。特に、万博の入場チケット発券時を起点として、人流を予測し、会期中の人流を制御・分散できれば、関西経済全体の大きな利益となる。
「地の利」を活かした公共交通と新モビリティとの接点の拡大
大阪市内は、他の大都市と比較しても坂などの緩急がなく、自転車や他モビリティでの移動が容易である。また一方通行が多く、移動の制御を地域ごとに行うことへの受容性も高い。地域を限定した新たなモビリティの利用範囲を広げる取り組みを期待できる。
利用者の移動時の「体験価値」を高める異業種連携
鉄道沿線開発の発祥の地でもあり、モビリティ事業者と商業施設や沿線施設との連携が関西は行われやすい。移動の時間自体も、「街や周辺施設の新しいふれあいや体験の場」として活用し、MaaSの利用者の「体験価値」を高める取り組みが期待される。