UXが複雑化する中で気をつけるべきこと
藤井:今回のイベントでは、ビジネスの価値の源泉がどんどんUXに移行していて、製品や機能よりも、体験や使いやすさの価値が高まっているという声を多く聞きました。デジタルとリアルが融合する現代では、体験がモバイルインターネットからリアルまで拡張したことで、UXが複雑化しています。そうすると、ステークホルダーが増えますし、必要なケイパビリティも増えます。それが世の中を悩ませているポイントだと思うのですが、川邊さんから見て、UXが複雑化する中でどのような点に気をつければよいでしょうか。
川邊:やはりUI/UXのユニバーサルデザインを普及させることと、それに基づいて誰もが使えるようになることが重要だと思います。今はリテラシーによって格差が生じています。日本はものづくりの会社が数多く存在するので、各社がこれからOMOやIoTのサービスを提供していくことになりますが、その時に自社のUIにこだわらず、ユニバーサルな使い方、デザインを採用してほしいですね。各社のサービスで使い方が異なると、一部のリテラシーが高い人しか使いこなせなくなり、格差は進行していきます。国内で90%を超える普及率を誇るスマートフォンのOSがAndroidとiOSの2種類しかないので、これから出てくるデバイスやサービスもここに合わせた方がいいと思います。