クアルトリクスは、日本を含む世界27ヵ国・地域を対象とした従業員エクスペリエンス(EX)のトレンド調査の結果を発表した。今回の調査では、日本の従業員エンゲージメントが前年より低下。継続勤務意向、ウェルビーイング、IT環境などに関しても、現状が低水準であるだけでなく、低下傾向にあることがわかった。
調査結果
1.従業員エンゲージメントは低下
今回の調査では、グローバル平均に対して日本の結果が大幅に下回っていた。さらに、日本のスコアは、前回調査から8ポイント低下。世界全体やAPJ地域全体が横ばいないし若干上昇したことからすると、日本の低下は特徴的な変化といえるという。
2.仕事から得られる活力がエンゲージメントを左右
今回の調査結果では、エンゲージメントを左右する要因(ドライバー)として、日常業務を通してやりがいやワクワク感などの活力を得ていることがトップとなった。加えて、見通しが不透明な世の中であるからこそ、将来に向けて自身のキャリアや、会社に対する展望が、エンゲージメントのドライバーとして抽出されたことも特徴だという。
その他、自社の変革に関して適切な説明などのサポートがあるか、自社の価値観に共感できるかなど、会社全体の方針や考え方に対する納得感が、エンゲージメントに刺激を与える要因となっている。
3.日本でも「継続勤務意向」は低下傾向
海外では「大量退職時代」(The Great Resignation)が最近の人事関連のトピックだが、日本では転職の動きはそこまで活発ではない。それでも、今回の調査結果では、一つの企業に長く在籍しようという考えが、日本でも弱まっていることがわかった。特に、若年層において継続勤務意向が弱い傾向がみられている。
4.リーダー/マネージャーの役割が重要
今回の調査結果では、リーダーシップへの信頼感が低下している。クアルトリクスは、会社・組織がこうした課題をマネージャーの力量のみに頼る場合、マネージャーの負担が大きく増大し、対応しきれなくなる状況が発生する可能性が高まりまるため、会社・組織として、トレーニングの提供や、処遇・職責範囲の調整など具体的な支援施策の実行が求められるとしている。
5.IT環境の整備が円滑な業務遂行のために不可欠
日本では、自社のIT環境が期待通りと捉えている従業員はわずか10%に過ぎず、極めて少数派となった。アジア主要国との比較においても、日本のIT環境が大きく遅れている可能性があることには十分留意すべきだという。
6.D&Iの促進が不可欠
多様なバックグランドを持った人々が存在することが当たり前の欧米と比較すると、日本企業のD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)推進活動は大きく遅れている。アジア大洋州の主要国と比べても、従業員からみた進展度合いは不十分で、経営陣の取り組み姿勢も弱いといえる。
7.ウェルビーイングの充実
今回の日本の調査結果をみると、ウェルビーイングは大幅に低下している。一般に、職場におけるウェルビーイングは、個人の立場の尊重、組織への帰属意識、担当業務に対するやりがいなどによって影響を受けると考えられる。こうした要素を大事にしながら、従業員が心身ともに健康で、信頼関係を築きながら、イキイキと働ける職場の実現が望まれるとしている。