多様なサービスを構築できるCPaaS製品「Vonage」とは
──最初に、CPaaSとは何かご説明いただけますか。
青木宏憲氏(以下、青木):CPaaS(シーパース)とは「Communications Platform as a Service」の略称で、音声通話やSMS、ビデオ通話、チャット、SNSなどの通信機能をAPIで接続できるクラウドのプラットフォームサービスです。設備の設置を要することなく、通信機能をAPIで自社サービスに組み込めるため、従来に比べて非常に安価かつ手軽に音声通話などのサービスを提供できます。
CPaaSは2000年代後半に米国で注目を集め、私が所属するKDDIウェブコミュニケーションズ(以下、KWC)でも2013年からCPaaS製品を提供しています。近年では、世界的に市場が拡大しており、IT市場における成長分野の一つでもあります。
高橋克己氏(以下、高橋):こうした市場の活況のなかで、当社が提供しているのが「Vonage(ボネージ)」です。VonageはCPaaSのリーディングカンパニーである米国Vonage社の製品で、導入実績は世界12万社以上、デベロッパーは100万人以上にものぼります。2017年には日本法人「Vonage Japan合同会社」が設立され、日本での導入も急速に進んでいます。
Vonageが提供するのは、音声通話と接続する「Vonage Voice API」、SMSやチャットなどと接続する「Vonage Messages API」、ビデオ通話と接続する「Vonage Video API」などです。そのほか、二要素認証(2FA)の仕組みを組み込める「Vonage Verify」も提供しています。
こうした幅広いラインアップはVonageの強みであり、これらを組み合わせることで、さらに多様なユースケースが可能になります。具体的には、Message APIにVoice APIを組み合わせれば、二要素認証の認証方法としてSMSと音声通話の両方を採用することが可能です。CPaaS製品のなかでも、ユースケースの多様さという点でVonageは際立った存在といえます。
また、利用しやすい料金体系もVonageの特徴です。たとえば、Vonage Voice APIでは、音声通話に対して秒単位で料金が課金されます。分単位の課金の場合、61秒間通話すると2分間分の通話料金が課金されるのに対して、秒単位の課金の場合は61秒間分の通話料金で済みます。このように、全体としてコストを抑えながら利用できる点もVonageの魅力です。
青木:私はVonageを「ブロックのおもちゃ」のような製品だと捉えています。Vonageはお客様のニーズに合わせて柔軟に組み合わせて利用することで、独自のサービスやソリューションを構築することもできれば、既存のシステムに特定のコミュニケーションチャネルや機能をアドオンする、といった形で使用することもでき、規定の枠に縛られない自由な発想で利用用途、利用方法は無限に広がります。実際に、お客様の業種業態は幅広く、スタートアップから大手企業までが多様な目的で利用しています。
