アクセンチュアは、世界のテクノロジートレンドに関する最新の調査レポート「Accenture Technology Vision 2022(以下、テクノロジービジョン2022)」を発表した。「テクノロジービジョン2022」では、デジタル化が進んだ社会や生活、ビジネスモデルの至るところにメタバースが遍在化することで、ビジネスや組織運営のあり方、顧客との繋がり方が再創造されつつあることを明らかにしている。
今回のレポートでは、「メタバースで会いましょう – ビジネスを再創造するテクノロジーと体験の融合(Meet Me in the Metaverse: The Continuum of Technology and Experience Reshaping Business)」と題し、拡張現実やブロックチェーン、デジタルツイン、エッジコンピューティングなどのテクノロジーによって、人々の体験のあり方が変わりつつある中、企業は従来の事業計画とは全く異なる未来に向かって競争を始めていることを紹介している。
アクセンチュアは、「テクノロジービジョン2022」の作成にあたり、日本を含む35ヵ国、23の業種にわたる4,600人以上の企業経営層およびIT担当幹部を対象に調査を実施。その結果、メタバースの黎明期である現段階において、調査対象者の71%が「メタバースは自社にポジティブなインパクトをもたらす」と回答し、42%が「メタバースは画期的もしくは革新的なものになる」と回答している。
「テクノロジービジョン2022」では、企業が押さえるべき4つのテクノロジートレンドを定義している。
WebMe──メタバースの中の「私」(WebMe: Putting the Me in Metaverse)
メタバースやWeb3により、インターネットは形を変えつつある。メタバースは、様々なサイトやアプリの集合体ではなく、今後は歩いて部屋を移動することと同じくらい簡単に、ある場所から別の場所への移動を可能とする、一貫性のある三次元空間となる。今回の調査では、企業経営層やIT担当幹部の95%が「将来のデジタルプラットフォームでは一貫した体験を提供し、異なるプラットフォームや空間における顧客データの相互運用を実現する必要がある」と回答している。
プログラム可能な世界──世の中をパーソナライズする(Programmable World: Our Planet, Personalized)
5G、アンビエントコンピューティング(環境に溶け込んだコンピュータ)、拡張現実、スマートマテリアル(知能材料)といった新興テクノロジーが進化するにつれ、デジタル環境は現実世界にますます編み込まれていく。こうした環境では、人々が世の中と繋がる方法や内容が変わるだけでなく、人々の感覚や交流方法、およびそれらをコントロールする方法が一新される。今回の調査では、92%が「先進企業が仮想世界の垣根を取り払い現実に近づけることで、仮想世界と現実世界の一貫性に対するニーズは高まるだろう」と回答した。
アンリアル──本物の世界を人工的に作る(The Unreal: Making Synthetic, Authentic)
企業や消費者が、企業のコンテンツやアルゴリズム、ブランドそのものに関して、リアルかフェイクのどちらかではなく、信頼のおける本物であるか否かを重視する中、AIの活用はこれまで以上に企業の最重要課題となっている。今回の調査では、96%が「データの出処や偽りのないAI活用の立証に取り組んでいる」と答えている。
不可能を可能にするコンピューティング──新たなマシンが可能性を切り開く(Computing the Impossible: New Machines, New Possibilities)
量子コンピューティングや生物学に基づくコンピューティングなどの手法により、従来のコンピューティングでは費用や効率性が全く見合わなかった困難な課題を企業が解決できるようになった。今回の調査では、94%が「難解に見える課題の解決に向けて次世代コンピューティングを活用することが長期的な成功を左右する」と回答している。