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デザイン思考×ビッグデータ

“異能集団”の組織デザイン-3つのポイントとフェア・プロセス

第6回

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 「デザイン思考×ビッグデータ」を実践するためには、知識・スキルや手法・ツールがあれば良いというわけではない。イノベーションを起こすためには、組織文化やマインドセットが重要であるが、どのようにすれば、創造的な組織・チームになるのであろうか。今回はその3つのポイントとフェア・プロセスについて紹介する。

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集まればいいというわけではない 「衆愚の罠」

 3人寄れば文殊の知恵と言われるように、多種多様なヒトとヒトの相互作用で「知」を創出していくことがイノベーションにつながることに疑いの余地はない。デザイン・ファームIDEOを支える人材(キャラクター)として「人類学者」「監督」「経験デザイナー」などの10種類が挙げられるが、そのすべての役割を1人で担うことは難しく、異分野メンバーによる相互連携は必要不可欠になる。こうした専門家同士を創造的に連携させていくことは、ビッグデータ分析を具体的な実践施策に落とし込んでいくためにも同様に必要なことである。

 しかし、異分野メンバーを連携させると言っても、とにかくみんなで集まってワークショップなどを実施し、デザイン思考のツールや手法を使えば上手くいくかというと、それほど甘いものではない
 重い荷物を運ぶというような単純作業では、みんなで力を合わせて集団の力を発揮することは難しくないが、知的ワークにおいては、そう簡単にはいかない。

知的ワークで相乗効果を発揮するのは困難図1. 知的ワークで相乗効果を発揮するのは困難

集団は、知への道ともなるし、知らず知らずのうちに、いつわりの合意と破壊的な対立を育てる「衆愚の罠」へと陥りもする。
(『集合知の力、衆愚の罠』より)

 集団による「愚行」について、頭に浮かぶ歴史的事実はいくつかあるかもしれないが、実は、私たちの日常でも、事の大小の差はあれども、頻繁に発生してしまっていることを認識しておく必要がある。

 実際、グループワークより個人ワークの成績の方が良いという事実をたくさん目の当たりにしてきた。断っておくが、特別な天才的な個人を、グループで超えられないということではない。もう少し詳しく説明すると、ある知的課題をそれぞれが個人ワークで取り組み、その後、その同一人物たちが同様の課題をグループワークで議論をすると、結果として、最高得点者個人(特定のグループメンバー)の成果よりもグループワークの成果の方が低いものになってしまう。これは、『ロジカルリスニング』(船川淳志著)にマイナスシナジーになるグループの特徴が説明されているように、多数派に流されてしまったり(対立の回避、安易な妥協)、声の大きな人に引っ張られてしまったりなどで、メンバーの能力を集団によって引き下げてしまう事実を明示している(注1)。

 このように組織力・チーム力を引き出すことは難しいので、個人ワークをする方が良いという話では決してない。重要なことは、知的ワークにおいては、ただ単に工夫もなくみんなで集まるだけでは、マイナスになってしまうと意識することであり、単にユーザーインタビューを実施し、ポストイットを使ったワークショップ形式で進め、ブレストを行い、様々なフレームワークなどのツールや手法を導入すれば上手くいくと短絡的に考えてはならないということだ。

 では、衆愚の罠に陥らず集合知の力を発揮し、クリエイティブな組織であるためには、どうすればいいのだろうか?

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この記事の著者

安松 健(ヤスマツ ケン)

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