思考枠組みの全体像、6つの思考パターン
以下の図をご覧いただきたい。これは、ここまでお伝えしてきた3つの思考法を「課題×解決方法」のフレームに沿って整理したものだ。課題と課題解決の両方に3つの思考法が当てはまるため、合計で6つの思考パターンができる。この連載で触れきれていない点も含めて、それぞれの思考パターンのポイントを図の中で記載している。気になる箇所があればぜひこれまでの連載を読み直してみてほしい。
最初のうちは、この6つの思考パターンをそれぞれ点検するように漏れなく考えていくといいだろう。その上で、それぞれを組み合わせてアイデアをつくっていく。
各思考フレームが排他的になるものではなく、特定の思考法で課題と解決方法を一気通貫する必要もない。むしろ各思考パターンを行ったり来たりして、それぞれに影響を及ぼしながら、最適なアイデアを生み出していくことがコツだ。
6つの思考パターンについて(課題編)
1:課題×統合思考
「複数の課題を一気に解決する本質的な課題を見つける」方法と「あえてトレードオフの課題に着目する」方法がある。複数の課題が生まれた際には、それぞれの課題の抽象度を上げていき、一気にまとめて解決できる課題を見つけることや、あえてトレードオフになりそうな課題を同時に解けないかと考えることが創造的な課題設定となる。特に、通常であれば敬遠されがちなトレードオフの課題は「創造の宝庫」であり、課題解決には有益であるという視点が重要だ。
2:課題×アナロジー思考
アナロジー思考では、具体的に3つの考え方がある。そのうち、課題を起点としたアナロジー思考は、「課題を軸に新たな解決方法をつなげる」方法で、同じような課題を解いている他の解決方法からヒントを得る手法だ。
この際、課題を最適な抽象度にして類推することがアナロジー思考を効果的に活用するポイントだ。その最適な抽象度とは、「あまりに抽象的で漠然としてしまって類推の対象が無数に広がりすぎたレベルから一段下げた抽象度のもので、範囲を限定する具体的な要素が最低1つは入っているもの」だ。この抽象的に考える技術はぜひマスターしてほしい。
3:課題×転換思考
課題を可視化して転換する方法は、次の3つだ。課題を転換できると効果的な打ち手につながることが多く、非常に重要な方法である。難しい問題にぶつかったり、プロジェクトがうまく進まなかったりするときには、課題を転換できないかと考えてみてほしい。
- 当該課題を解かなくても、より上位の課題を解消することや目的を達成できる方法があるのではないかと考える(そもそもこの課題って目的を達成するために本当に解かないといけないのか?と根本的に問い直す方法だ)
- 当該課題が逆に強みにならないかを考え、新たな上位の課題を解決できないか考える
- 当該課題(Why)を導くシーンを構成しているWho×Where×Whenを転換することで、当該課題が新たな課題に転換できないか考える