AIは「啓発期」に突入している
ここ最近バズワード的なAIに関するニュースが減り、AIに対する過度な期待は修正されたように思います。Gartnerのハイプ・サイクルによるとAI(人工知能)は、「幻滅期」を通り抜けて「啓発期」に入りました。
これを言い換えるなら「AIを活用して何かできないか?」という議論がようやく終わり、「AIがもたらす効果をどう最大化するか?」というフェーズに入ったとも言えるでしょう。今後10年で、AIによるインパクトが加速度的かつ不可逆的に進む中、啓発期における取り組みの優劣が、AIソリューションを提供する側にとっても、利用する側にとっても、これからの未来を大きく左右するものと考えます。
「AI企業」とは何か
AIは啓発期に入りましたが、AIソリューションの提供を担う「AI企業」とはどのような企業を指すのでしょうか。IT企業を一括りに語れないのと同様に、AI企業も一括りにすることは難しいと考えています。
AI技術を大まかに分類すると、弊社Tractableが注力する画像認識に加え、自然言語処理や、音声認識、時系列予測などが挙げられます。また、顧客との一問一答をルールベースで解析し、その結果を“推奨”として返すアプリを開発している企業や、AIを簡易的な業務ツールとして開発している企業もAI企業と名乗ることが多いのも事実です。
個人的には、いずれも顧客が価値を認めて利用しているのであれば、素晴らしいことだと思っています。しかし、言葉が定義されていないことで、まったく性質の異なる価値を提供する企業をAI企業と一括りにすることで、様々な誤解が生じているとも感じています。そこで、本連載では、以下を満たすものを「AI企業」と定義したいと思います。
- ルールベースではなく、ディープラーニング(深層学習)技術を活用したスケール前提のソリューション提供を行っている
- AIを活用して顧客の業務変革を促すなど、ビジネスモデルそのものへの革新にも貢献している
- 顧客が大手企業の場合、AIの活用によって最低でも数億円以上の効果が見込めるプロジェクトとして位置づけられている