経済産業省は、「伊藤レポート3.0(SX版伊藤レポート)」を取りまとめるとともに、「価値協創ガイダンス2.0」を策定した。
同レポートとガイダンスは、2021年5月に経済産業省が「サステナブルな企業価値創造のための長期経営・長期投資に資する対話研究会(SX研究会)」を立ち上げ、SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)の具体化に向けた検討を進めるとともに、同年11月に立ち上げた「価値協創ガイダンスの改訂に向けたワーキング・グループ」において、SX実現のためのフレームワークとしての、価値協創ガイダンスの改訂に向けた検討を深めた結果を、報告書としてまとめたもの。
具体的には、SXの実現に向けて、企業や投資家などに求められる取り組みを具体化させるため、8回にわたり議論を実施。その結果を踏まえ、SXの実現に向けた経営の強化、効果的な情報開示や建設的な対話を行うためのフレームワークとして、価値協創ガイダンスの改訂を目指し、価値協創ガイダンスの改訂に向けたワーキング・グループで2回の会合を催し、検討を深めたという。
伊藤レポート3.0(SX版伊藤レポート)の主なポイント
- 日本企業の長期成長に向けた投資の伸び悩みや、国際的にサステナビリティへの対応が長期経営の根幹をなす要素となりつつある状況は、日本の企業・投資家をはじめとするインベストメントチェーン全体にとって試練であるとともに、チャンス
- SXの実践こそ、これからの日本企業の「稼ぎ方」の本流となっていく
- 企業が投資家などとの建設的な対話を通じ、従来の企業活動の延長線上にはない非連続的な変革を加速することが重要
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SXの実現のための具体的な取り組みとしては、以下の3点が挙げられる
1. 社会のサステナビリティを踏まえた目指す姿の明確化
2. 目指す姿に基づく長期価値創造を実現するための戦略の構築
3. 長期価値創造を実効的に推進するためのKPI・ガバナンスと、実質的な対話を通じた更なる磨き上げ - バリューチェーン全体(中堅・中小企業やスタートアップを含む)やインベストメントチェーン上の多様なプレイヤー(運用機関・アセットオーナー、証券アナリスト、ESG評価機関など)も含め、日本全体でSXを効果的に推進していくことが必要
「価値協創ガイダンス2.0」の主な改訂ポイント
- ガイダンスの全項目において、持続可能な社会の実現に向けて、企業が長期的かつ持続的に価値を提供することの重要性と、それを踏まえた対応の方向性を明記
- 項目「長期戦略」を新設
- TCFD提言における「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の開示構造との整合性を確保
- 項目「実行戦略(中期経営戦略など)」において、人的資本への投資や人材戦略の重要性をより強調する構成へと組み直し
- 項目「実質的な対話・エンゲージメント」を新設