NTTデータは、金融機関が店舗やアプリなどの複数の顧客接点(チャネル)を横断的に開発し、クロスチャネルを実現するプラットフォームを2023年度内に開発することを決定した。
同プラットフォームでは、システム開発者が、現金や現物も取り扱う対面サービス向けのアプリケーションと、Webやスマホアプリによる非対面サービス向けのアプリケーションを、同一のクラウド上で横断的に開発できるようになるという。
これにより、複数の顧客接点をシームレスにつなげた顧客体験を実現し、顧客満足度の向上に寄与するとしている。
また、1つのチャネル向けに開発したプログラムなどの資産を他のチャネルに流用することで、既存の分断したシステムが前提の開発に比べて、素早く低コストでサービス拡充できるようになると述べている。
ローコード開発ツールも備える予定で、行職員自らシステムを開発する内製化を支援し、開発経験を通じて金融機関のデジタル人材を育成。加えて、金融機関自身でアプリケーションをカスタマイズしながら、顧客に最適化されたサービスを提供できるようになるとしている。
対面サービスでは、営業店での顧客応対をデジタル化の動向に合わせて柔軟に変更しながら、店頭に設置する機器の見直しや、店舗事務のスリム化を実現。非対面サービスでは、受付事務やバックオフィスなどの事務コスト削減に資する取引メニューの拡充や、スマホアプリなどを起点に顧客一人ひとりに合ったサービスを拡充することで、顧客との関係深化を実現するという。
また、顧客接点がスマホアプリなどのデジタルチャネル中心になることに伴い、対面サービスでの認証利用など、さまざまなシーンで顧客自身のスマホアプリ利用を促進する機能を提供し、より良い顧客体験を創造することで多様化する顧客ニーズに対応すると述べている。
プラットフォームの特徴は以下のとおり。
対面・非対面チャネル横断のプラットフォーム
OpenCanvas上に構築し、インターネットから利用する非対面チャネル向けのサービスも、金融機関の営業店などのイントラネットから利用する対面チャネル向けのサービスも、同プラットフォームから提供できるようにする。これにより、1つのサービスを複数の顧客接点に展開することが容易になるという。
また、対面・非対面チャネルで受付した取引データは、統合してバックエンドシステムと連携し、受付から後方事務を含めてトータルでのコスト削減を実現する。
一元的な顧客接点管理で顧客体験の改善に寄与
複数のチャネルをまたがる顧客接点の情報を一元的に管理できるため、顧客のステータスを正確に把握できる。そのため、店舗からスマホ、スマホから店舗といったチャネルやシーンをまたがった場合においても、顧客に対して切れ目のない応対ができるようになるという。
また、同プラットフォームに接続するデバイスは相互に情報共有できるため、顧客と行職員が相対して手続きを進めるシーンにおいて、顧客の入力作業を相対する行職員のデバイスからリアルタイムに支援できるようになる。これにより、顧客支援の幅が広がり、顧客体験向上に寄与するとしている。
ローコード開発ツールによる内製化支援
ローコード開発ツールと、開発プロジェクトの実績をもとに標準化した画面遷移シナリオや画面を構成する部品群のテンプレートを提供。また、金融機関の対面サービスに必要なキャッシュカードリーダや汎用的な現金機器などの金融専用機器との連携機能についても、テンプレートの活用ができる。そのため、1から専用機器とのインターフェースを開発することに比べて、期間短縮が可能。
これらを活用することで、行職員自らシステムを開発する内製化を支援し、開発経験を通じて金融機関のデジタル人材を育成。金融機関自身でアプリケーションをカスタマイズしながら、顧客に合ったサービスを提供していけるようになると述べている。