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工藤卓哉氏が語る「アナリティクスからAI、その先の領域」

アクセンチュア 工藤卓哉氏インタビュー(後編)

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アクセンチュアのデータ・アナリティクスを率いる世界的なデータサイエンティスト工藤卓哉氏へのインタビュー。IoTを語った前半に続き、後半では、データ分析の高度化、AIの進化についての意見を聞いた。

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アルゴリズムとセンシングの共進化

ここ数年、ビッグデータが語られ、統計学やデータアナリティクスに注目が寄せられてきた。こうした潮流は現実のビジネスにどこまで影響を及ぼしているのか、またAI(人工知能)がこうした動向とどのように関係してくるのか。工藤氏は、「アルゴリズムとセンシング」が共に進化していることに注目すべきだという。

アナリティクスとビジネスが直結する分野で顕著なのは、デジタル広告があります。広告ではこれまで使われていたRTB(リアルタイム入札)やリターゲティングなどの手法がそろそろ限界に来ていて、広告入稿のための機械学習の付加価値自体が落ち、市場自体も成熟してきました。今後は分析対象となる入力データが広がってくるのではないでしょうか?
これまでは、ユーザーの属性や閲覧履歴から広告を配信していましたが、今後はウェアラブルデバイスによるデータも解析の対象になってくるでしょう。PCやスマホなどのオンラインのデータ以外に、身につけたデバイスからのオフラインのデータが収集されることで、「この人、この時間はスポーツジムで汗を流していた」などがわかるようになってくる。情報の属性、クラスタリングベースではなく、アルゴリズムが進化して粒度が細かくなり、人の行動様式がフィルタリングの要素になり、広告の出し分けが出来るようになってくる。

さらにセンサーデバイスの進化によって、これまでは捕捉されなかったようなデータも分析の対象になってきているという。

入力値の範囲が拡大することで可能性が広がります。ビッグデータの定義としていわれる「3つのV」=バラエティ(多様性)、ボリューム(量)、ベロシティ(速度)の考え方が、アナリティクスにも入ってきます。アクセンチュアが発行している「TechVision」というレポートでは、2020年までにセンシングの種類が20億デバイスになるといいます。将来的には、人間が感知できない範囲の周波数の音であるとか、信号が捉えられ解析される。そうなると、五感を超えた「シックスセンス」の世界ですよね。これまでできなかった気象予測、地震や津波の予知などが可能になるかもしれない。AI的なアルゴリズムの進化とセンシングの高度化が同時に進むことで、違うモデリングが出来るというのが私の考えです。

ディープラーニングが与えるインパクト

Accenture Data Science Center of Excellence アクセンチュア アナリティクス 日本統括 マネジング・ディレクター 工藤卓哉

工藤氏は、「カーツワイルの世界観(注)は飛びすぎている」としながらも、現在のAIについては画期的なものだという。

(注)レイ・カーツワイル氏の2045年ごろにはAIは成長を遂げ、シンギュラリティ(技術的特異点)を超えて人間の知性を超越するという未来予想

今のAIのブレイクスルーになったのは、ディープラーニング(深層学習)です。ディープラーニングで可能になったのは「マルチモーダリティ」ということ。人間の脳の仕組みと同じく階層型の構造で情報処理をイテレーション(反復)する。私たちは、ある人を見た時、その人の声、背の高さ、洋服など様々な要素からその人であることを判断します。一回の判断ではなく、何度も情報処理を回しています。それと同じことがコンピュータで可能になった。その階層も深くなり高速で回せるパワーが今のコンピュータにあるからです。

これが産業に与えるインパクトは大きいと工藤氏はいう。では、最近話題になる「AIによって人間の仕事が奪われる」という問題についてはどう考えるかを訊ねた。

たとえば、金融や証券のプロのトレーダーが、5つぐらいの画面をみながら世界の為替や市況などのトレンドを読んで売りや買いのタイミングを捉え取引しますね。こういう世界は、世界中のデータを集めてAIがおこなえば、いずれは人間を追い越すかもしれない。でも「AIが仕事を奪う」という議論自体はあまり面白くない。むしろAIに何が出来ないかを考えてみることです。

AIでは到達出来ない人間の可能性は何か。工藤氏は「認知」と「判定」ということについて語った。

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