電通デジタルは、リモートワーク中の従業員(リモートワーカー)の表情をAIにより分析する「INNER FACE(インナーフェイス)」を開発し、福島県立医科大学・早稲田大学に在籍する研究者をはじめとする心理学・人間科学の研究者4名と産学共同で、「リモートワーカーの表情とメンタルヘルスの相関性を観測する」研究を開始した。
INNER FACEでは、リモートワーク中、従業員がパソコンに向かい通常業務をしている状態で、表情分析をするAIによってメンタルヘルス状態をレポーティングし、コンディション管理をサポートできるという。
同社は今後、4名の研究者と共同で同システムを活用した実証実験を実施し、研究データを蓄積することで、表情分析から異常の予測などメンタルヘルスケア領域での活用を推進するとしている。
INNER FACEの特徴は以下のとおり。
表情データの取得に加えて、主観気分、抑うつテストを実施
表情データは、face.apiを用いて1秒に1度計測。「エクマン理論」に基づく基本6感情を取得する。主観気分の自己評価を定期的に実施するとともに、抑うつテストはPHQ-9を用いて、表情と主観気分、抑うつの相関関係を明らかにしていくという。
感情の推移を客観的に把握できるパーソナライズレポート
感情の推移を、時間帯や曜日で比較。計測を重ねるほど、感情の変化の傾向を把握できる。
数値化した表情データのみを活用しプライバシー管理も徹底
映像データは取得・保存せず、デスクトップ上で数値化された表情データを利用して分析。そのため、映像データの漏洩リスクもなく、プライバシーに配慮しているという。
同社は、デジタルテクノロジーとクリエイティブを活用し、様々な社会課題の解決に取り組む「ソーシャルプロジェクト」を推進しており、今回のINNER FACE開発によるプロジェクト始動もその一環。今後、リモートワークにおけるメンタルヘルスケアの課題解決に向けた新たな研究結果の発表や同システムの実用化に向けて、プロジェクトを推進するとしている。