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「3つの社会変化」を自社組織の機会にする

第3回

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働き方の変化:「個の力」と「コラボレーション」の重要性

 2つ目は「働き方の変化」だ。今から90年前の日本では、働く2人のうち1人は農家だった。現在は20人に1人。農家の代わり増えたのが知識労働者だ。4人に1人が何らかの形で知識を活用した労働に関わっている。

 このことは何を意味するのだろう。1つは、生産性を判断する基準の変化だ。どれくらい大きな土地や機械を持っているかという「物量」の世界から、どれくらい専門性の高い知識を持ち、どれだけの価値を生み出せるかという「成果」の世界へ変わりつつある。

日本における知識労働者の割合(総務省 統計局資料より) 日本における知識労働者の割合(総務省 統計局資料より)  これまで、私達の社会は「産業社会」から「情報社会」、そして「知識社会」へと移り変わってきた。ジェームズ・ワットが実用化させた蒸気機関を代表する、大型機械が特徴的だ。機械の発達は生産性の飛躍をもたらした。やがて、1人の職人が何日もかけてつくっていた製品を、大量生産できるようになった。
 その後訪れた情報社会では、「一元管理」がキーワードになる。20世紀に、フレデリック・テイラーが科学的管理法を提唱し、労働プロセスの客観的な把握ができるようになった。これにより、働く手順や方法を、1つの情報として管理できるようになった。結果的に、労働者は「管理する側」と「管理される側」にわかれ、階層化による大型組織の運営が可能になった。

 21世紀における土台は、機械や階層ではなく、「流動的な知識」になる。専門知識の陳腐化は6ヶ月~2年で起こると言われている。仮に大学院で高度な知識を学んだとしても、社会に出る頃にはその専門知識は過去のものとなっている。「仕事を通じて学び続けることが求められ、互いの知識を活用し合うことで成果を出す働き方」が主流になるだろう。

 産業社会や情報社会では、「タスクを分割し、手分けして処理する」という発想が生産性を高めた。土地の有無や管理システムの精度が重要であり、「大量生産や一元管理をいかに行うか」が主要な問いであった。

 しかし、今後は「コラボレーション」が重要になる。そこにあるのは「互いの強みを活かし、いかに生産性を高めるか」という発想だ。専門性を十分活かし、他人と協力してチームプレイを発揮できる「個人的な力量」が求められるようになる。

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技術発展:フラット化する社会と創造性

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この記事の著者

柏野 尊徳(カシノ タカノリ)

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