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イノベーションへの3つの壁と「デザイン思考」

第6回

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「文化の壁」を乗り越える組織的な学習

 認識の壁と不確実性の壁を乗り越えた先にあるのは、「文化の壁」だ。どこかの部署で偶然にも機会の発見と不確実性の低減が行われたとしても、全社的に実行される体質がなければ“まぐれ”で終わってしまう。組織の隅々まで、イノベーションの文化を浸透させなければならない。

 天才に頼らず、普通の人たちで卓越した成果を創造する組織を作るには、組織に所属するあらゆる人間が「自己の得意な学習方法」を把握しなければならない。なぜなら、前回の記事で紹介したように、新しい発見による知識の獲得と蓄積が、イノベーションの源泉になるからだ。知識の獲得、つまり学習をチームがスムーズに行えるかどうかによって、成果を出せるかどうかが変わってくる。

学習スタイル 図3 学習スタイル
(参照:Beckman & Barry, 2007)
 学習スタイルは、大きく4つに分けられる。縦軸が「学びの抽象度」を表現しており、下が「具体的」で上が「抽象的」な学習になる。たとえば、実際に手を動かして現場で学びを深めるタイプは、下側に位置する。逆に、実践の前に理論や構造を把握している方が学びを深められるタイプもいる。それは上側に位置づけられる。
 また、左側は「分析的な学習方法」を得意とし、一つ一つを細かく分けて学ぶ方法を好む。たとえば、事例を沢山収集するなかで学びを深める「左下(知覚型)」のタイプもあれば、集まった事例を抽象化して分類・整理することで学びを深める「左上(定義型)」のタイプも存在する。

 右側は「統合的な学習方法」を得意としており、散らばったものを1つにまとめる過程のなかで学習を深めていく。「右上(跳躍型)」であれば、コンセプトやアイデアといった抽象的なものを考え、「右下(体験型)」であれば、具体的な物をつくるような実践のなかで学びを深めていく。

 4つの全ての領域からバランスよく組織的に知識を獲得するチームを作ることで、イノベーションプロセスが内在化された文化を育むことが可能になる。

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3つの壁を壊す「デザイン思考」は日本人が得意

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この記事の著者

柏野 尊徳(カシノ タカノリ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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