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次代のための“探索型”AI活用

現在の“DX”では新たな価値は生まれない──真の変革をもたらす「バリューアップ型AI」とは

第3回

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 DXという言葉が誕生したのは、今から20年も前に遡ります。この長い時間の中で、AIの領域ではディープラーニングや生成AIなど、革新的な技術やサービスが誕生してきました。ですが、そうした華々しい技術進歩の一方で、国内で本当に“DX”なるものが実現してきたかは、その実感の少なさに加え、身のある成果を耳にすることも少なく、どうも疑わしいところがあります。データを紐解いていくと、私たちがDXを誤って理解し、検討違いの方向に時間と労力を浪費してしまっていることが見えてきます。さらに、AIという技術を表面的にしか捉えられておらず、その実力を過小評価している現状も垣間見えます。今回は、国内企業のDXの実情を明らかにするとともに、その機能から見えてくる真のAI、「バリューアップ型AI」の実力を考察していきます。

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生成AIの進化は本当に“DX”に寄与するのか

 ChatGPTの登場に沸いた2023年。まるで人間と対話しているかのようなその性能の高さに世界は驚愕しました。生成AIの勢いは2024年に入っても衰えることなく、ChatGPTなどの言語生成AIのみならず、Stable Diffusionに代表される画像生成AI、OpenAIのSoraが話題を呼ぶ動画生成AIなど、あらゆる領域で生成AIの技術革新が、文字通り日進月歩の速度で進んでいます。

 AI向けの半導体製造を主力事業とするNIVIDIAが過去最高益を達成するなど業界の活況ぶりが報じられる一方で、その驚くべき進化のスピードを危険視する声も決して少なくなく、実際、テイラー・スイフトなど著名人のフェイク画像やフェイク動画が拡散されたことが話題となりました。

 登場当初は一部の研究者やエンジニアのみに限定されていた生成AIという“魔法のツール”は、良くも悪くも誰しもが簡単に使いこなせるものとして広まり、そして身近なものとして確実に浸透し始めています。

 さて、エリック・ストルターマン氏が提唱した「DX(Digital Transformation )」という言葉は、ほぼすべてのビジネスパーソンが耳にしたことがあると言っても過言ではないはずです。多くの企業でDXがスローガンのように掲げられ、専門部署を立ち上げて推進する企業も多く存在しています。

 比較的新しい考え方として捉えられているDXですが、それが提唱されたのは、なんと今から20年も前の2004年です。変化の激しい現代において、DXという概念は新しいどころか、使い古された考え方と捉えるのが適切かもしれません。それと同時に考えさせられるのは、この20年もの期間にわたって多くの企業で必死に取り組まれてきた“DX”なるものが、本当にトランスフォーメーション(変革)を実現し、私たちのビジネスや生活に新しい価値をもたらすことに成功したのかということです。

 冒頭に紹介した生成AIは、確かに歴史的に見る技術革新であり、私たちは大きな転換期に立ち会っていることに間違いありません。ただ、こと国内ビジネスを俯瞰してみると、本当にDXというものが正しく目指されているのか、そして生成AIがDXに寄与するのか疑わしい状況が見えてきます。

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この記事の著者

椎橋 徹夫(シイハシ テツオ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

和田 崇(ワダ タカシ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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