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組織戦略としてのデータとCX

デジタル庁樫田氏に聞く、データ分析組織にとって大切な「構造理解と融和的な振る舞い」とは

【前編】ゲスト:デジタル庁 Head of Unit, Fact & Data 樫田光氏

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 デジタル庁でデータ分析の専門人材として活躍する樫田光氏のインタビューを前後編でお届けする。データ分析ユニットを立ち上げる際に必要な動き方、大規模組織の新たな組織能力として「データ分析」を活用して組織に変化を起こすこと、そしてデータドリブンな組織を作るための仕組みづくりについて語っていただいた。前編ではご自身のキャリア、大規模組織でのデータ分析組織立ち上げの流れ、その際に大切にすべき融和的な態度などについて伺った。

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デジタル庁での仕事はこれまでのキャリアがすべてつながっている

──データ分析組織の立ち上げに関してお伺いする前に、樫田さんのこれまでのキャリアをお聞きできますか。

 これまでのすべての経験が偶然ながら今の仕事につながっているように感じます。私はもともと、データ分析自体にはあまり興味がありませんでした。新卒では、外資系の戦略コンサルティングファームに入社しました。そこでの経験が、数値やデータを見ることのルーツになっています。よく社内で使われていたフレーズに「Number Never Lies(和訳:数字は嘘をつかない)」というものがありました。日本語や英語でビジネスパートナーと意思疎通を図ると、解釈や翻訳には一定の揺れが含まれるのですが、数値は事実をまっすぐに伝えます。温度感などはさておき「以前100だったものが130になった」という事実は確実に相手に伝わります。

 入社したころは英語があまり得意ではありませんでしたが、データ分析が得意だったこともあり、最初のプロジェクトでは「言っていることはよく分からないけれど、出してくる数値やグラフはいい」と思ってもらえました。数値やデータを使って会話ができたことで、共通言語としての数値の強さを実感しました。

 4年ほどして退職し、その後はデータコンサルティング企業に入社しました。当時は「データサイエンティストが21世紀でもっともセクシーな仕事だ[1]」という言葉が流行し、データ分析自体が注目されはじめており、社会全体で関心が高まっていた時期です。

 この頃から、データを使うことでどう組織を変えられるかについて考えることが多くなっていました。というのも、データ分析のコンサルタントとして働く際には、クライアント社内での意思決定者を把握することが必要です。しかし、外からできることには限りがあります。そこで、いつかは事業会社で実践してみたいと考えはじめていました。そんな時期に、以前から誘っていただいていたメルカリにデータアナリストとして転職しました。

何をするか以上に、いつやるかが重要

──メルカリからデジタル庁というのは、どのような経緯でしょうか。

 データ分析業界もメルカリも僕の転職当時は盛り上がりというか、ちょうど勢いが出はじめた時期でもありました。デジタル庁への参画も同じです。仕事探しにおいては、当然ながら何をするかにこだわる人が多いですが、いつやるかも同じかそれ以上に重要です。私が入庁したころにデジタル庁でできたこと、今できること、そして2年後にできることはそれぞれ大きく異なると思います。

 デジタル庁での仕事が魅力的だと感じたのは、自分と世界のタイミングがちょうど重なっていたからこそです。実力も実績もなかった25歳のころの私が入庁しても、できることは限られていたでしょう。今なら、立ち上げ期の組織に自分ならではの形で貢献ができる自信があります。これまで見てきた、営利企業とは違う世界を見たいと思いはじめていた自分もいた。そのタイミングで、デジタル庁が立ち上げられて、そこで民間人材を広く登用することが決まりました。まさに偶然の一致です。そうしたタイミングがあっての入庁でした。


[1]Thomas H. Davenport and DJ Patil「Data Scientist: The Sexiest Job of the 21st Century」(Harvard Business Review, October 2012)

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この記事の著者

雨宮 進(アメミヤ ススム)

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