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新時代のリーダーは「感情の矛盾」に注目すべき。組織変革に立ちはだかるパラドックスの乗り越え方とは?

講演者:立教大学経営学部 准教授 /株式会社MIMIGURI リサーチャー 舘野泰一氏

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 短期業績と長期戦略、効率性とイノベーション、組織における求心力と遠心力、安定性と成長性——企業におけるリーダーたちは、様々なパラドックス(矛盾)と向き合いながら、日々経営・マネジメントに悩み、葛藤しているのではないだろうか。これらの矛盾を乗りこなし、よりよい経営・組織づくりを実現するためのアプローチを、最先端の研究知見と共にご紹介したウェビナー『組織変革のパラドックスを乗り越える「新時代のリーダーシップ」』が、2024年3月12日にMIMIGURIにより開催された。スピーカーは、立教大学経営学部 准教授でありMIMIGURIのリサーチャーでもある舘野泰一氏、司会進行・ファシリテーションはMIMIGURI 代表取締役Co-CEO安斎勇樹氏だ。『パラドックス思考』(ダイヤモンド社)共著者である二人の、書籍の内容をより“実践的に発展させた”講演内容をレポートする。

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経営・マネジメントにおける矛盾を乗りこなすための新概念「パラドキシカル・リーダーシップ」とは

 舘野泰一氏(以下、舘野氏)の専門分野は、リーダーシップ教育、ワークショップ開発、越境学習、大学と企業のトランジションであり、これまでに様々な組織変革をリサーチしてきた経歴を持つ。舘野氏によると、経営の不確実性がますます高まる現代において、求められるリーダーシップのあり方も大きく変わっているという。

 経営リーダーは「短期業績の達成か、中長期目線での仕込みか」や「既存事業の強化か、新規事業への投資か」などのパラドックス(矛盾する)構造にある決断を、常に迫られる。どちらの選択肢も単独で見れば「正しい」が、両方とも実現するには大きな困難が伴う。

 これらの矛盾をうまく乗りこなし、困難を超えていくための新しいリーダーシップとして「パラドキシカル・リーダーシップ」という概念が海外で注目されつつある。

画像を説明するテキストなくても可
資料提供:株式会社MIMIGURI/クリックすると拡大します

 これまでのリーダーシップにおいては、矛盾は悪とされ、難しい選択も即断即決すべきというのが通念であった。

 しかし、新概念である「パラドキシカル・リーダーシップ(矛盾を受容するリーダーシップ)」においては、矛盾と出会った時に、すぐに「AかBか?どちらかに決める」のではなく、この矛盾をまずは受け止め、その中にとどまりながら「AとBが両立する策を考えるべき」とされる。近年社会に広まりつつある「ネガティブ・ケイパビリティ(性急に証明や理由を求めずに不確実さや不思議さ、懐疑の中にいることができる能力)」とも通ずる考え方だ。

 これらの新概念を土台に「実践的な組織変革」に迫っていく。

組織変革を実現するには「ヒトと組織の感情パラドックス」を蔑ろにしてはいけない

 ここまで述べてきた悩ましい矛盾の背景には、人と組織の感情パラドックスが存在するというのが、舘野・安斎両氏が提起する独自の課題設定だ。

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資料提供:株式会社MIMIGURI/クリックすると拡大します

 外的な矛盾(上図の「ジレンマ」)の解決に向き合うことを妨げる最大の要因は、ヒトの感情の中にある矛盾(上図の「感情パラドックス」)に、本人が気付けなかったり、気付いているけれども蔑ろにしてしまったり、さらにいえば、受け入れられずになかったことしてしまうことにあるという。

 では、感情パラドックスとはなにか。

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資料提供:株式会社MIMIGURI/クリックすると拡大します

 感情パラドックスとは、問題の背後に矛盾する「感情A」と「感情B」が存在し、どちらかの感情を優先すると、自身も周囲も納得できる答えが出せなくなる状態を表す。「権限委譲をしたいが(実は)自分なしで仕事が円滑に進むことは困る」だったり、「新しいビジネスに挑戦したいが(実は)自分自身は変わりたくない」などが感情パラドックスの一例だ。

 このようなヒトの「感情パラドックス」を蔑ろにせず、理解・受容した上で、丁寧に問題解決を図っていくことが、ヒトの集合体である組織の変革実現には欠かせない。

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