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ヘルスケアイノベーター探訪

医師起業家が語るヘルスケアイノベーションのポイント──M-INTが目指す医療従事者が報われる世界とは

第1回 ゲスト:M-INT 藤尾夏樹氏

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 医療分野におけるデータ利活用や、AIやロボットによる医療の効率化、企業連携や異業種連携による新規事業創出を通じて課題解決に取り組むイノベーターたちにインタビューする本連載。第2回は​医師起業家として​診療情報提供業務のDXに取り組む株式会社M-INT 代表取締役の藤尾夏樹氏にお話を伺いました。聞き手は一般社団法人ヘルスケア イノベーション協会 代表理事の大角知也氏です。

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医療の現場を仕組みから変える医師起業家の挑戦

大角知也氏(以下、大角):医学博士として臨床の現場で活動されつつMBAを取得して起業という経歴が、まさに“ヘルスケアイノベーター”だと感じています。まずは藤尾さんのここまでのキャリアについて簡単に伺ってもよろしいでしょうか。

藤尾夏樹氏(以下、藤尾):研修医としてキャリアをスタートさせた2008年以降、内科医の臨床医として働いています。これまで高齢化率47%の過疎地や、都心部、離島など様々な地域で、クリニックや在宅医療など様々な形態の医療サービスに従事してきました。並行して2020年3月には早稲田大学大学院経営管理研究科(ビジネススクール)を修了し、MBA取得。2021年2月には株式会社M-INTを設立しました。

 この中で起業の原体験として特に大きいのが、高齢過疎地での勤務経験です。高齢化率47%は超高齢社会である日本の未来像ともいえますが、そこでは医療の需要と供給のバランスが崩れつつあるように感じていました。需要過多で医療従事者が“潰れる”と思ったのです。

大角:コロナ禍で「医療崩壊」が注目されるようになりましたが、それ以前から超高齢社会における医療崩壊が危惧されていましたよね。

藤尾:高齢化にともなって医療需要は確実に増加している一方、人材不足もあって、医療の供給は需要を満たすほど増えていません。そのため、医療従事者が置かれる状況は年々厳しくなっており、その状況を“献身性”が支えているといっても過言ではない状況です。

 “献身性”で支えられている現在の医療はいびつな状況で、「豊かで幸福」な職業ではなくなりつつあります。医療は超高度な専門職で、資格を取得するまででさえ膨大な時間とお金を費やす必要があります。医療従事者として働くようになっても、長時間労働や高度な専門性を身につける必要があり、医師すらも“美味しくない仕事”として避けられつつあるほどです。

 その状況を見て、私は献身的な人が報われる社会、「医療で働くことが豊かで幸福である」という社会を実現しなければと考えるようになりました。

 現在の医療制度について、医師会や厚生労働省が議論の的となることも多いですが、医療の現場を見ると、現状を変えるためには「供給を増やす」か「需要を諦める」か「仕組みを変える」しかありません。私はそのうちの「仕組みを変える」を自分で成し遂げるため、M-INTを立ち上げました。

株式会社M-INT 代表取締役 藤尾夏樹氏
株式会社M-INT 代表取締役 藤尾夏樹氏

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この記事の著者

梶川 元貴(Biz/Zine編集部)(カジカワ ゲンキ)

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