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「大企業×スタートアップ」のオープンイノベーションを事業成長につなげる“ポイント”

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 2022年末に策定された「スタートアップ育成5か年計画」の柱の1つとなっているのが、「オープンイノベーションの推進」だ。本稿では、2024年5月に開催された、日本最大級のスタートアップ専門展示会「Startup JAPAN 2024」から、「大企業×スタートアップ協業を、事業成長の武器にするには? スタートアップエコシステム加速に向けた、課題とちょっと先の未来。」と題したセッションを紹介。一般社団法人スタートアップエコシステム協会 代表理事でPlug and Play Japan株式会社 Executive Directorも務める藤本あゆみ氏と、株式会社eiicon 代表取締役社長の中村亜由子氏が、大企業とスタートアップのオープンイノベーションを成功させ、スタートアップエコシステムを加速させるポイントについて語った。モデレーターは、株式会社XSproutの代表取締役社長と株式会社eiicon イノベーション推進事業本部 Enterprise事業部の部長を兼任する香川脩氏が務めた。

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日本におけるスタートアップエコシステムの現状と課題

 2022年を「スタートアップ創出元年」と定めた日本政府は、同年末に「スタートアップ育成5か年計画」を策定した。「スタートアップエコシステム」の創出を目的とするもので、「人材・ネットワークの構築」「資金供給の強化と出口戦略の多様化」「オープンイノベーションの推進」の3つを柱とし、スタートアップへの投資額を5年間で10倍にする目標を掲げている。

 そもそもスタートアップエコシステムとは何か。通常は「スタートアップの創出と育成を目的にした仕組み」を思い浮かべがちだが、藤本氏は、「人や組織が相互に作用し合うことにより、スタートアップが誕生し、育っていくような生態系そのもの」と説明する。つまり、スタートアップエコシステムにおいて、スタートアップの創出と育成は目的ではなく、様々な要素が相互作用した結果だということになる。

 続けて藤本氏は、スタートアップエコシステムのあり方は時代と共に変化してきたと指摘する。元々スタートアップエコシステムは、様々な起業家や企業、投資家、研究者などが、長い年月をかけて相互に作用し合って作り上げていくものだと考えられていた。しかしここ10年で、フレンチテックのような、政府主導により短期間で作り上げるモデルが世界的に浸透しつつある。藤本氏によれば、ロンドンやイスラエル、シンガポールと同様、日本のスタートアップ育成5か年計画も、この新しいモデルの特徴を備えているという。

 では、日本のスタートアップエコシステムを作り上げるためには、何が必要なのか。藤本氏は、解決すべき課題を3つ提示した。1つ目は、生態系の分断だ。日本でもスタートアップエコシステムは既に存在するが、小さく閉じたものが複数点在する形であり、相互作用が少ないことが問題だという。2つ目として、各プレーヤーのグローバル志向が弱く、国外との相互作用が少ないことを挙げた。これもエコシステム構築の大きな障壁となっている。3つ目の課題は、スタートアップのEXITに多様性がないことだ。藤本氏は、「IPO以外の出口戦略が検討されづらく、市場拡大の可能性を奪っている可能性がある」と指摘した。

 ここでモデレーターである香川氏は、最後の課題に着目し、スタートアップの出口戦略がIPOに偏る理由と、それを多様化させるための方策について藤本氏に質問。藤本氏は、「M&Aは成功のイメージで捉えられづらく、のれんの処理も難しいため、事例がなかなか増えないのでは」と答えた上で、「M&AにはIPOにはないスピード感があるので、事業成長の方針や目的に応じた活用が進めば、EXIT戦略の多様化につながるだろう」と述べた。

一般社団法人スタートアップエコシステム協会 代表理事/Plug and Play Japan株式会社 Executive Director 藤本あゆみ氏
一般社団法人スタートアップエコシステム協会 代表理事/Plug and Play Japan株式会社 Executive Director 藤本あゆみ氏

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この記事の著者

山田 奈緒美(ヤマダ ナオミ)

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