『ソーシャル物理学』が語る、組織や都市をクリエイティブにする方法とは?

『ソーシャル物理学:「良いアイデアはいかに広がるか」の新しい科学』

 編集部が業務用に“自腹”で購入したビジネス書を紹介する本コーナー。今現在、Biz/Zineの新規企画用の資料として読み漁った中で、本当にBiz/Zine読者の役に立ちそうなものを選び紹介していきます。第6回は書籍『ソーシャル物理学:「良いアイデアはいかに広がるか」の新しい科学』(アレックス・ペントランド (著), 矢野 和男 (その他), 小林 啓倫 (翻訳)  /草思社)です。さて、どんな内容なのでしょうか。

[公開日]

[著] BizZine編集部

[タグ] データ・アナリティクス IoT スマートシティ コミュニティ データテクノロジー

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『ソーシャル物理学』は、何に役に立つのか?

 今回ご紹介する書籍は、『ソーシャル物理学:「良いアイデアはいかに広がるか」の新しい科学』(アレックス・ペントランド (著), 矢野 和男 (その他), 小林 啓倫 (翻訳) /草思社)です。

 筆者のアレックス・ペントランド氏は、マサチューセッツ工科大学(MIT)教授で、MITメディアラボ創設から関わり、現在は同ラボのヒューマンダイナミクス研究グループ所長を務めています。ビッグデータ研究の世界的第一人者で、フォーブス誌が選ぶ「世界で最も有力な7人のデータサイエンティスト」にも選ばれています。

 そんな経歴を持つ著者が書く、本書の中核となる部分の概要を説明したいと思います。「社会物理学」というまだ一般的に聞き慣れない領域での研究をベースに、「新しいアイデアはどこで生まれるのか?」「そのアイデアはどうよって行動に移されるのか?」「どうすれば協調的で生産性が高く、創造的な社会構造を実現できるのどうろうか?」という極めて重要な現代の問いに具体的な回答を示しています。

 では、具体的にその内容を本書の中からみていきましょう。

「社会物理学」の中核となる、2つの概念

本書のメインとなる理論である社会物理学は、人の行動に着目して、その行動をビッグデータと社会学理論を駆使して、実社会へ応用可能な科学を構築すること目標としています。その中核には、2つの概念があります。

1:アイデアの流れ

 一つ目は「アイデアの流れ」という概念。人間が実際に生活をする地域や組織などのコミュニティとデジタルネットワーク上も含めた「ソーシャルネットワーク」において、アイデアがどのように伝わっていくのか。その「流れ」に着目します。このアイデアの流れのプロセスは、「探求」という新しいアイデアや戦略を発見するプロセスと、「エンゲージメント」というソーシャルネットワーク内において主流となるアイデアに自身の行動を適合させるプロセスの、2つに分類することができると、述べています。

2:社会的学習

 2つ目は「社会的学習」という概念。新しいアイデアが習慣となる過程で生じるもので、学習が社会的圧力によって加速することや、形作られたりすることを指しています。

 では、社会物理学の成果は、何に役立つのでしょうか。それは、新しいアイデアと呼べる多くのものを、特定のソーシャルネットワークから創発させ、かつ、そのアイデアを浸透させることを目指しています。
 そう、ビジネスに置き換えれば、新たなアイデアで新商品・サービスを開発したり、その後、新たに開発した商品やサービスのマーケティングに活用したり。また、組織内に新たな考え方を浸透させたり、従業員のモチベーションを高めたりなど、組織マネジメントなどにも有効です。そして、もっと大きい規模のものにも適用可能だと言っています。それは、都市における課題解決。つまり、都市におけるイノベーションに有効だと語っています。都市におけるイノベーションにかぎらず、企業の中から新たな事業を起こす為にも有効な実践的な理論だとしています。

 次項以降で、本書のキーとなる部分をみていきましょう。

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