アクセンチュアは、最新の調査を行い、グローバル企業の96%が、今後3年間で総収益の5%以上を人材・組織変革に投じる計画であることが明らかになった。
なお、この規模の投資を行う企業は、3年前の31%から大幅に増加。一方で、人材・組織変革から大きな価値や成果を得ることのできる企業は、比較的少数であることもわかった。
生成AIを含むテクノロジーの革新や働き方の変化などを受け、創造的破壊(ディスラプション)が起こる可能性がある中で、企業の経営幹部には、変化に順応する能力が求められるという。
調査によると、すべての経営幹部が労働力の変化を想定しているにもかかわらず、自社の人材・組織の変革能力に自信をもっているのは30%に過ぎず、大きなギャップが存在していることもわかった。
レポートでは、経営幹部が企業全体の再創造を加速する中、将来を予測し、かつ事業全体にポジティブなインパクトをもたらす、継続的な変革能力を備えることへの重要性を強調している。
そして、変化に順応する鍵は事業と従業員により良い結果をもたらす、継続的な人材・組織の変革能力を備えることだという。
これらの能力は、成功の法則ともいえる実証済みの手法を含む「ファウンデーション」、そして、テクノロジー、データ、AIから洞察を得て、新たな行動に移すことで変革を活性化する「イノベーション」に大別される。
これらはアクセンチュアの「人材・組織の変革能力指数(Change Capability Quotient)」の基礎にもなっており、「人材・組織の変革能力指数」は継続的な変革手法を体系化し、データで変革の成功可能性を予測することで、変革能力の成熟度とパフォーマンスの関連性を導き出すもの。
同調査を通じて、変革能力の成熟度を高めることで、企業は期待以上の成果創出と適応力の向上が可能になることも明らかになった。
この成熟度が高い企業では、変革の成功確率が2.1倍高く、また、その業種や規模を問わず、生産性向上、コスト削減、利益創出やサステナビリティ指標の改善、従業員の「Net Better Off(正味幸福度の向上)」に至るまで、変革への投資に対してより早く大きなリターンを達成している。
しかし、調査対象となった 1,000の企業のうち、大規模な人材・組織変革を実行している企業は16%にとどまった。
実際、変革を成功に導く企業の能力は、再創造の土台となるもの。アクセンチュアが以前発表した「継続的な再創造のための能力を有する一部の企業」(9%)は、リインベンターズ(再創造企業)と呼ばれ、変革能力自体を企業の中核的な強みとして組み込んでいる。
企業の経営幹部は、継続的な人材・組織変革の必要性を認識しているが、実現の過程における共通の障壁は、変革を導くための洞察と、それを実行するための行動との間で生じるギャップ。
たとえば、現場のマネージャーは経営幹部よりも2倍、変革のスピードが速すぎると考える傾向がある。また、信頼の欠如も課題であり、チームの準備態勢に自信をもっているリーダーはわずか25%であり、変化に対応できると感じている従業員は42%に過ぎないという。
調査方法
同調査は、2つの手法に基づいている。
- 企業変革活動に関するマクロ環境、労働、業界のトレンドを幅広く理解するうえでの経済モデリング、データ分析、グローバル調査を行い、変革をめぐる対話の進展とその方向性を明らかにする
- 詳細な聞き取り調査などを通じて、変革のダイナミクスに関する多様な視点を収集し、従業員個人と企業レベルでの仕事における体験、視点、機会、 および課題を分析。調査やインタビューなどを通して、17ヵ国に本社を置き、14の業界を代表する1,000人以上の経営幹部と5,000人以上の従業員からデータを取得
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