インフキュリオンは、全国の個人事業主および請求・支払い業務を把握する立場にある人を対象に「ビジネス決済総合調査2024」を実施した。
半数以上の事業者が、取り扱う請求書は「紙が多い」と回答
取り扱っている請求書の形態を尋ねる質問では、発行する請求書・受け取る請求書ともに半数を超える事業者で「紙の割合が多い」という結果になった。この結果からは、まだ紙の形態で請求書を発行・発送する従来通りのペーパーワークを続けている事業者が多いことがわかる。
特に、小規模事業者の請求書のデジタル化は遅れが目立つ。一方で、取引先から受け取る請求書に「電子データの取り扱いがある」とする事業者は、77%に上るため、法改正などをきっかけに事業者のデジタル化は着実に進んでいるという見方もできるという。
今後、取引先の要望などもあり、ますます請求書の電子化を進める事業者は増加すると同社は述べる。請求書の電子化を筆頭に、業務のデジタル化を積極的に進めている事業者と進めていない事業者では、業務のデジタル化の格差は広がり、結果として業務効率の格差につながっていく可能性も考えられるという。
3社に1社が支払い遅延経験あり、理由は「期日管理のミス」
取引先への支払い遅延の経験を尋ねる質問では、事業者の約3社に1社は「過去1年間に支払いが遅れたことがある」と回答。従業員規模301〜1,000人の中規模事業者では半数を超えている。
支払い遅延の要因としては、「期日管理のミス」が事業規模に関わらずトップ。加えて、個人事業主・従業員規模が100人未満の小規模事業者では、「資金不足」の要因が高くなる傾向があった。
事業者にとって、近年のフリーランスの増加にともなう請負業務委託先の増加は、支払い先の多様化を助長し、請求管理をはじめとする経理業務の複雑さを助長する要因になっているという。
一方で、今年11月からはフリーランス保護法も施行され、取引先への支払いや契約に対する業務にも厳格さが求められるようになった。請求書管理や支払い作業を目視による確認だけではなく、請求書を自動で読み込み、支払い作業までシームレスにできるようなシステム環境を整え、人とシステムで経理業務の補完をしていくことが今後重要になるとしている。
支払い機能と連動した高機能の請求書があったら、半数以上の事業者が「経理の負担が減る」
今後、ボタンをクリックするだけで登録しているビジネスカードや銀行口座から支払いいが完了する高機能な請求書が登場した場合に、経理業務の負担を変えるか尋ねる質問では、54%の事業者が「負担が減る」と回答。また、従業員規模が大きくなるほど「負担が減る」と考える割合が増加した。
また、経理用ソフトウェアと連動した支払い業務は従業員規模が大きいほど行われていることが明らかになった。業務の効率化や人的ミスをデジタル技術で低減する環境整備は、従業員規模が大きい事業者では進み始めていると考えられる。
今後、他社の成功事例が増加していくに連れ、業務の効率化や人的ミスをシステムで排除する環境整備は、小規模事業者や個人事業主にも広がっていくことが予想されるという。
従業員規模が大きいほど経理業務にクラウド型会計ソフトを利用
同調査では、従業員規模が大きい事業者ほど経理業務で用いるメインのツールにクラウド型の会計ソフトを利用していることがわかった。個人事業主では、クラウド型の会計ソフトをあげた割合はわずか17%にとどまる。
「ビジネス決済総合調査2024」調査概要
- 調査手法:インターネット調査
- 調査地域:日本国内
- 調査対象者:①個人事業主 ②法人や民間団体の経営者 ③法人や民間団体において経理部門に所属または取引先への請求業務/支払い業務の内容を把握している人
- 対象人数:1,236人(事業者の従業員規模ごとに各206人)
- 調査期間:2024年10月4~8日
- 調査主体:インフキュリオン
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