未来を創るすべての挑戦者へのメッセージ
福田:それでは最後に、これから挑戦する方々へのメッセージをお願いします。
池田:「スタートアップ育成5か年計画」が始まって以来、大変多くの方とお会いする機会に恵まれましたが、起業家の方はもちろん、官民や所属組織の垣根を越えて、本当にあらゆる場所に「挑戦者」がいらっしゃると実感しています。私は政府の立場から、日本の未来がより良いものになるよう、皆様とともに尽力していきたいと考えています。
市橋:私自身、大企業の新規事業担当者として、ロールモデルとしては「勝海舟」のような存在になりたいと思っています。幕末から明治にかけて日本が大きく成長したのは、坂本龍馬のようなスタートアップ側の人々だけでなく、幕府側に勝海舟のような人物がいて、互いに協調して変革しようとしたからこそだと思います。新規事業に取り組む方々の中には、坂本龍馬型もいれば、勝海舟型もいらっしゃるでしょう。そういった方々とコミュニケーションを取り、ともに挑戦していければと思います。
山下:新規事業の目的とは何か、今一度問い直すべきだと考えています。既存企業の中で新規事業を立ち上げる際、多くの壁にぶつかり苦労するのはよくわかります。しかし、壁を乗り越え、事業を立ち上げて認められることが目的ではありません。事業を始めるのはスタートに過ぎず、それが社会にきちんと実装されることこそが、新規事業本来の目的なのです。極論を言えば、新規事業の目的は「既存事業にすること」です。
事業を始めてから世の中に実装するためには、外部の多様な人々との関わりや協力が不可欠です。それを前提に取り組めば、壁は自然と乗り越えられるか、あるいは避けて通れるものだと私は思います。
福田:ありがとうございました。僭越ながら私からも感じたことを共有させていただきます。中央官庁やNTT、旭化成のトップ層は、非常に強い危機感を持ち、新しいことをやりたい、変えたいという思いを抱いていると感じます。しかし、それがなかなか現場で形にならないのはなぜか。「壁はどこにあるのだろう」と考えたとき、実は「できない理由を考えがちな自分たちの中にあるのではないか」と感じました。
私たちも、今日この場で学んだことを必ず持ち帰り、行動を起こすことを誓います。皆様もぜひともに、大企業が自らを変え、競争力を高める取り組みを進めていきましょう。