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トリドールは“心”的資本経営へ 省人化と機械化の流れにあえて逆行する理由

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心的資本経営を実体化するための新制度

 同社では、従来の店長制度を刷新し「ハピカンオフィサー制度」を導入。これは、主に管理業務を請け負っていた店長を、従業員の幸せと顧客の感動に徹底的に向き合うハピカンオフィサーとするものだ。

「店長がシフトの作成や受発注などの業務に追われ、仲間とのコミュニケーションがとりづらい状況を打破するための制度です。たとえば、誕生日を迎えるスタッフにケーキを贈って皆で祝ったり、バーベキューを開催してメンバーを労ったり。ハピカンオフィサーが予算を持つことで、そのようなアクションが生まれる職場を目指します」(粟田氏)

 既に丸亀製麺では先行してこの制度を導入しているという。「ハピカンキャプテン」という呼称で四つのグレードを設定し、最高位のハピカンキャプテンには年収2,000万円もの好待遇を用意しているそうだ。「向こう三年で300名のハピカンキャプテン輩出を目指す」と粟田氏は語る。

心的資本経営を支えるスコア

 心的資本経営で重視される「従業員の心=ハピネス」と「顧客の心=感動」を、どのようにして計測するのか。同社では独自のスコアを用いて、それらの徹底的な定量化・可視化に取り組んでいる。

 まずは、従業員の心のコンディションをスコア化する「ハピネススコア」だ。丸亀製麺で2025年7月に導入した「丸亀ハピネススコア」では、音声対話型の生成AIを活用して従業員の声を収集し、1万人規模のハピネス・エンゲージメントを測定している。

 顧客の感動を測る仕組みが「感動スコア」だ。丸亀製麺で2024年4月に導入した「丸亀感動スコア」では、食後の顧客の感情や評価を可視化し、翌日に店舗へフィードバック。従業員を褒めるきっかけとして感動スコアを活用し、内発的動機の向上を図っている。

 これらのスコアと売上や客数などのコンディションデータが確認できる「ハピカンダッシュボード」を開発中の同社。AIエージェントがあらゆるデータから従業員に示唆を与える設計で、2025年12月のローンチを目指しているとのことだ。

心的資本経営を支えるデータサイエンス

 従業員のハピネスと顧客の感動をいかに“繁盛”へつなげるか。この問いに向き合うべく、同社ではデータサイエンスを活用して独自のモデルを構築した。

同社独自のモデル
同社独自のモデル

 データサイエンスの会社と複数の統計指標を用いて構築したこのモデルを使うと「どの指数を高めれば、顧客の感動増幅や業績向上につながるのか」がわかるという。心的資本経営が成果につながるようサポートする仕組みと言えるだろう。

まとめ

 粟田氏は次のように展望を語り、説明会を締めくくった。

「心的資本経営を弊社の最高のエンジンにしたいと考えています。単なるフィロソフィーに終わらせず、実体化に向けてデータサイエンスを駆使し、力強くドライブするつもりです」(粟田氏)

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この記事の著者

渡辺 佳奈(Biz/Zine編集部)(ワタナベ カナ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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