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「THINK BY HANDS」手を動かしながら考えよう /佐宗 邦威 氏講演レポート

Buiness Book Academy セミナーレポート

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翔泳社ビズジンが毎月、注目のイノベーターやビジネスパーソンを呼び、開催されているビジネスブックアカデミー。7月に開催された、佐宗邦威氏による『21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由』をテーマにおこなった講演の内容をお届けする。

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なぜ今デザイン思考か?

デザイン思考とは?

 デザイン思考における「デザイン」には、外観等の見た目のデザインだけを指すのではなく「現状をより良いものに変えていく」という広義な意味を持っている。デザイン思考とは、元来デザイナーの思考をビジネスに活かすために考えられた方法論だという。

デザイン思考は、デザイン的な考え方を理想的にやるための方法論です。それが特にビジネスマンやエンジニアのようなノンデザイナーの人向けにパッケージされたものでもあります.

 佐宗氏は著書『21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由』の中ではデザイン思考を「創造的問題解決」と言い換えている。ユニークな切り口で課題を発見し、その課題を実際に解決するための方法を創り出すために用いられる方法論がデザイン思考だ。

21世紀のビジネスとは?

 ではなぜ今このデザイン思考が注目を浴びているのか。それは、21世紀に入り、インターネットやSNSの普及によりビジネス環境の変化が起きていることにある。下図がその変化の具体例だ。

ビジネス環境の変化

 左側が大量生産大量消費型のヒエラルキーモデルのビジネスモデル。右側が21世紀のネットワーク型のビジネスモデルだ。このように今日では、ビジネスが複雑化している。そして今まさにこの予測不可能なマネジメントの中でどのようにして世の中を動かしていくかということに課題が移りつつあるのだ。

 そこで方法論として活用できるのが、従来の論理的思考ではなく、ユニークな切り口で課題発見、課題解決をするデザイン思考だという。

見出し:デザイン思考実践のキーワード  ではデザイン思考を実践するときに重要なこととは何か。もちろんデザイン思考という方法論は非常に深いものであるため全部は紹介できないが、佐宗氏が重要だと語る3つの要素について紹介する。

プロトタイピング 「THINK BY HANDS」手を動かしながら考えること

佐宗 邦威 氏(株式会社biotope 代表取締役/イノベーションプロデューサー)

 いかに短い時間でMVP(Minimum Viable Product)と呼ばれるサービスを最小限で表現するプロトタイプをつくれるかがデザイン思考では重要だという。

 佐宗氏は有名なピカソが有名な絵画ゲルニカを描いた時のプロセスを見せてくれた。最初に描いていたものが、描いているうちに全く別のものへと変わっていく。この「とりあえず手を動かす」ということがプロトタイピングの本質だと佐宗氏は語る。

『THINK BY HANDS』考えてからつくるのではなく、手を動かしながら考えることがとても重要です。

 一般的にプロトタイプというと、金型をつくるためのモックアップで、数百万程度のコストのかかるものをイメージして呼ばれることが多い。しかしここで言うプロトタイプとは、紙に書いたコンセプトスケッチから体験をプロトタイピングするものまで、そのかたちは様々だ。

 佐宗氏によると、プロトタイピングの種類は実現性と具体性という2つの軸により分解することができる。

 これらプロトタイプを1週間単位で作っていくことで、つくる習慣がつくられると佐宗氏は語った。

チームで、思った価値をとりあえずかたちにして、『つくる習慣をつくる』ということがデザイン思考で必要です。

統合思考 

 創造=「知的生産」を実践するために必要な要素として「インプット」「ジャンプ」「アウトプット」という3つをあげてくれた。

知的生産性は、圧倒的な「インプット」とインプットしたアイデアを掛け合わせる「ジャンプ」、そしてそれを凝縮した「アウトプット」をすることで生まれます。

これらのそれぞれの要素について、簡単にコツを紹介する。

  • インプット:ビジュアルで集め、ビジュアルで考える ビジュアルデータをとにかく多く集めることが大事である。例えば、一回のリサーチで200枚ほどの写真を集める。また、自分の普段いかない場所に行くなど、幅を広げることも重要。
  • ジャンプ:発想を飛躍させる 意外な組み合わせをつくるための情報整理をビジュアルで表す。全く関係無い組み合わせを作ってみる。
  • アウトプット:シンプルに感情に訴えかける体験デザインを行う ビジュアル1枚でアウトプットをつくる。ストーリーや体験デザインとしてまとめる。

     特にデザイン思考では、「インプット」や「ジャンプ」で出てくるバラバラな情報やアイデアを統合し、アウトプットとして意味のあるストーリーにすることが重要であると佐宗氏は語った。

モードの切り替え

 佐宗氏によれば、デザイン思考のプロジェクトでは、「プロトタイピング」と「統合」の2つのステップから価値の8割が生まれる(本から抜粋)。デザイン思考のプロセスはこの2つに加え「リサーチ」、「分析」を合わしたサイクルで行われていく。順序は、リサーチ→分析→統合→プロトタイピング。これを高速で回していく。ここで大事なのは、各プロセスにおいて使う身体感覚が異なるということだ。佐宗氏はこの各プロセスをモード化し、どのプロセスの時にどの状態であるべきか語った。

  1. プロセス:リサーチ モード:旅人 旅人のように非日常の土地では、新しいことばかりの環境にとりあえず体全体を使い、浸り、感じる。このモードでは、新しいものを考えるのではなく単に感じようよとすることが重要。
  2. プロセス:分析 モード:ジャーナリスト 旅から帰ってきて得たものをジャーナリストのようにメモを分析し、消化する行為。学んだ事柄を一度書き出し、事実として起こったこととそこから言える解釈を必ず分けて記述することがポイント。
  3. プロセス:統合 モード:編集者 リサーチ、分析で出たいろいろなアイデアや切り口に対し、「雑誌で何の一面にしようか」と考えるように一枚の絵に凝縮し、統合する。
  4. プロセス:プロトタイピング モード:クラフトマン THINK BY HANDS

※この後、佐宗氏は、デザイン思考の基本である「ビジュアルシンキング」の重要性を解説し、参加者とワークショップをおこない、続いてデザインとビジネスの関係、21世紀のイノベーションキャリアについて図を用いて語った。

(編集部より)続きは、以下からお読みいただけます

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