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デジタルに舵を切った西日本新聞、猛スピードで繰り出すブランドコンテンツの強みとは

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新聞社発キュレーションメディア「piQ」

株式会社西日本新聞メディアラボ 代表取締役社長 吉村康祐氏/事業戦略室 プロデューサー 清田慎弥氏

新聞社のように伝統的な社内文化を持つ組織からイノベーションを生み出そうとするのは難しい。西日本新聞でも、これまでも記事のインターネット公開や経済・ビジネス記事を切り出した「qBiz」などを運営しており、社内のデジタルのプロジェクトは存在した。 しかし、世界規模で新聞メディアの再編と統合が進む現在、新聞社としては、より早いデジタルビジネスへの着手が必要とされる。 そのため、関連子会社のWEB制作会社に、本社デジタルプロジェクトから吉村康祐さんが出向。昨年4月に「西日本新聞メディアラボ」と社名変更し、新たなスタートを切った。

新聞社の中にいると、どうしてもスピードが遅くなります。決裁をとるのも、稟議がどんどん回っていって、取締役に判子を押してもらわなければいけません。こちらの会社では、私が今トップなので、自分が判断すればすぐスタートできる。そういう意味でスピード感は相当上がりました。(吉村氏)

最初に立ち上げたメディアであるキュレーションサイト「piQ」は九州のエッジの立った情報をキュレーションし発信していくというメディアだ。

“福岡・九州の旬でおもしろい情報”をまとめたメディアで、地域で情報発信している企業やブロガーなど、コンテンツパートナーを募集するスタイルをとった。これも従来の「記者が記事を書く」という新聞社の体質では出来なかった試みだ。吉村さんの元部下で、東京から戻って参加したプロデューサーの清田慎弥さんの発案だった。

事業提携しているランサーズ(クラウドソーシング会社)との協業で、WEBメディアの記事を制作、ディレクションするフローを構築して、昨年の7月にはクラウドソーシング部を立ちあげ、コンテンツ制作の体制を強化しました。ランサーズの取り組みやノウハウを取りいれて、質の高いコンテンツを提供できれば、新聞社グループの強みをさらに活かせると考えました。(清田氏)

クラウドソーシングによる記事の発注は、オープンなものではなく、クローズドな指名形式。たとえば福岡在住でのお店の情報や、子育てなど、それぞれのテーマごとに記事を発注する。ある程度のテーマや属性で書ける人たちが会員化されているので、その人たちに記事を募集するという形だ。

コンテンツを作るというのは新聞社の本質でもあります。しかし記者や編集員が書くものがすべてではない。紙の新聞ではカバーできない多様なコンテンツを僕らが作り出していく、いずれは新聞記者の書いたコンテンツのマネタイズにもつなげていければ理想です。

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この記事の著者

京部康男 (Biz/Zine編集部)(キョウベ ヤスオ)

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